第十一話 聖女、学園に入学する
「それは、伝説の吸魔のロザリオ!見せてもらっていいか?」
学長室にはいるなり、学長先生が食いついてくる。学長先生が目を見開く。
学長先生は、白いお髭のおじいちゃんで、ローブにとんがり帽子の、魔法使いを地で行く方だった。演出なのか?
「学長先生!これは見るだけですよ。けど、それよりもマリーちゃん、魔法使ってみて」
「タッチヒール」
僕はサリーに促されるまま魔法を使う。
「なんと!それを付けて魔法を使えるのか…魔神を超える魔力があるのか…それで魔法は何をつかえるんじゃ?」
じいちゃんは目を見張る。
「タッチヒールとライトだけです…」
「え!なんと!早急に魔法を学ぶのじゃ!宝の持ち腐れすぎじゃ!」
「それでは、学長先生。マリーちゃんの入学、認めて貰えますね!」
サリーの顔がぱっと華やぐ。
「ああ、もちろんだ!けど、空きがあるのはGクラスのみじゃが、中途入学なので、それでいいか?」
「えーAじゃないんですか。それならあたしもGクラスに変更お願いします」
「まあ、いいけど、マリーとやら、しっかり功績を上げていくのじゃぞ。Gクラス落ちしたら再試験じゃからな」
「はい!」
学長先生が在学証明書をくれる。
「あと、週に一回は、そのロザリオを少し貸してくれ、研究させてもらいたい!」
「いいですよ。では、日取りは決めて下さい」
サリーがどんどん決めて行く。思ったよりあっさりだな。なんか試験とかあるかと思ってたのに。
次は売店に連れて行かれる。在学証明書を見せると校章と生徒手帳を貰えた。校章は、バラみたいな花で、薄茶色だ。
そこで採寸され、1時間後位には制服が出来るそうだ。職員のおばちゃんに、お約束で胸にびびられる。
教職員棟を出て、次は女子寮へ行く。まだサリーの部屋は空いていて、使えるそうだ。
「家財一式売っ払っちゃったのよね…」
「買いに行こう、商店街みたいな所無いの?」
「あるにはあるけど、ここら辺は物価高いのよ…」
「じゃ、最低限で行こう」
学園都市を出てすぐそばにアーケードがあり、そこで、生活必需品を買い、次は家具を買う。色々買い、どんどん収納に入れていく。どこでも目を見開かれる。
「マリーちゃんの収納、どれだけ入るの?」
「母さん言うには魔力に比例するらしいから、ほぼ無限だと思う」
「無限…やっぱりただの人間じゃないと思う。もし、良かったら今度種族鑑定にいきましょ。あとスキル鑑定も」
僕もそれは興味ある。そんな便利な事も出来るのか。
最低限のはずが気が付いたらしこたま買っていた。大金貨三枚も無くなっていた…
「マリーちゃん。あたしがいうのもなんだけど、金銭感覚やばくない?因みにいくらお金もってるの?」
「むー、解んない、そこそこいっぱい」
「じゃ、帰ったら確認しよ」
なんか、このままいったら財布のひもも握られそうだ。
サリーは僕の収納も共有してるし。
学園都市の売店に戻り、制服を受け取る。僕は支給で、サリーは買い取りだった、小金貨2枚飛んでく。直ぐに更衣室で着換える。紺のブレザーにプリーツスカート。胸には校章。
おおJKだ!
ついつい鏡の前でクルクル回る。僕、可愛いわ!
当然サリーも可愛い。サービスで瓶底眼鏡を外してくれた。
次は学食に行く。ウニも一緒にご飯を食べる。普通の定食で、パンとサラダとスープだ。トレイに乗ってるのが、学校感があっていい!
普通で美味くもまずくもないけど、お腹すいてたので、美味しくいただく。学生はあまりいなかったけど、じろじろ見られる。
う、目立ってるな!
幾人か相席を求められるが、サリーがにべもなく追っ払う。
「お前にいってないんだよ!ぶす!」
そのうち一人が暴言を吐いた瞬間にサリーにみぞおちに一撃食らっていた。
ん、校章金色だぞ、そいつ!
それ以降は、誰も近づいて来なかった!
サリー怖え!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
女子寮に戻りサリーの部屋に行く。最上階だ。ヒエラルキーがあるのか?
買ったものを色々出して最低限生活できるようになった。僕が部屋を借りれるまで、ここでお世話になる事になった。
収納のお金ゾーンからお金を出してサリーが買ってきたコインケースに入れて数える。大金貨に直して30枚以上あった。結構使ったと思ったけど、意外に残ってる。
「しばらく、お世話になります。よろしくお願いします」
サリーが床に三つ指ついて頭を下げる。ん、こんなのは苦手だ。
「こちらこそ、お世話になります」
僕も床に手をつき頭を下げる。
「フフフフッ」
「アハハハハッ!」
僕たちは何がおかしかったのか、笑いはじめる。
そのあと、僕たちは順番にシャワーを浴びて、ウニとシェイド、僕とサリーで寝た。サリーと僕は手を繋いで。なんか、サリーが僕を意識して照れるのがすごく可愛い。けど、なんか忘れてるような……