第九話 聖ガンダーフ魔道学園
聖ガンダーフ魔道学園。大陸一の学園。
小学部6学年2クラス500名、中等部3学年3クラス350名、高等部3学年7クラス900名、大学部4学年7クラス1200名、大学院2学年300名、教職員約500名。数字は概数だけど、合わせて4000人近くの人間が行き来する。もはや小さな都市である。
聖都の正式名称は、聖ガンダーフ魔道学園都市と言い、この学園が出来て、それから広がって街が出来たそうだ。
聖都は都市一つでの中立国家で、その中でも学園は治外法権、来る者拒まず去る者追わずで経歴不問、ただ実力主義だそうだ。それを支えているのは強大な武力、高等部生徒会、大学部学園執行部はやばいらしい。
小中高等部は制服、大学部と院は私服だそうだ。小中は全寮制、高等部、大学部は、任意だけど、成績優秀者には最先端技術を駆使したアパートに住む事が出来る。サリーはそこを引き払ったばかりだけど、また、借りようと思ってるそうだ。
一番の魅力は、全室装備のお風呂!因みに聖都でかなり裕福な者しか家に風呂はない。ほとんどの者は井戸端で行水か、部屋でタライで拭くくらいだ。街にはいくつか銭湯があり、温泉もあるそうだ。
「たまには広いお風呂もいいけど、マリーちゃんも解ると思うけど、胸が大きいとガン見されるから、なんか落ち着かないのよ…」
サリーは、今、丸形でぐるぐるな牛乳瓶底眼鏡をしてる。よく、眼鏡はずしたら美少女だったパターンのマストアイテムだ。伊達だけど、見る分には問題ないらしい。
僕らは、今、学園門の所で通行許可待ちだ。あのあと、ギルドに行き、バーミング城の事を説明した。サリーはギルドマスターと懇意だそうで、すぐに討伐隊が組まれ出発したそうだ。伝聞なのは、僕はギルド酒場で青汁などすすりながらぐでーっとしてたからだ。説明面倒くさいし、マリーでは余り目立ちたくない。
サリーの認識標の再発行の依頼もしたけど、出来るのは、明日だそうだ。しかも、大金貨一枚かかった。ん、なんかごいごい出費してるな…あといくら持ってるのだろう?
次に、眼鏡屋に寄って、学園に向かった。ギルドの北の方だった。
いつもは、学園門をすぐ通れるそうだけど、昨晩のアンデッドハザードのおかげで、新規の来訪者チェックが厳しく、しかも、ちょうど守衛の交代時間で引き継ぎに時間がかかってるそうだ。非常事態だし、原因は僕と思われるのでしょうがないか…
「サリー、何をしてるのか?モモは一緒じゃないのか?」
赤髪の190センチ位の長身の男だ。スラッとしてるけど、しっかり筋肉がついてて、少しつり目だけど線が細めで、鼻梁が通った世界共通系の美形だ。背丈がなければ、女性と言われても解らないだろう。紺のブレザーをきっちりと折り目正しく着込み、槍を背負ってる。
その、左斜め後方に位置して、小柄な美少女がいる。細く、若干手足がながく、小顔にフワフワした黒髪ぱっつんで肩口まで髪を伸ばしてる。
赤髪が僕の方を見る。目があうと、彼の目が見開かれる。しばし目があう。赤髪は目を細め僕の顔をジロジロ見る。
「おう!何ガン見してんだよ!やる気か!」
重力を弱め、直ぐ動けるようにする。
「まて、争う気はない!」
赤髪は手で僕を制する。ひゃーでかいなー!
次の瞬間。
「結婚しよう!」
僕は赤髪に抱きしめられてた!