第三話 孤児院の跡で
「サリー、建物を転移するって、魔法で出来る事なのか?」
僕はとりあえず座る。正直疲れた。
「テレポートって魔法を聞いた事があるけど、知ってる所に移動する形で、魔力消費量がはんぱじゃないはずよ、建物ごととなると、見当つかないわ。要するに、解らないわ」
サリーも座る。目がとろーんとしてて、眠そうだ。
「母さんって何者なんだろう。ただの魔法屋のおばさんだと思っていたのに」
「マリーちゃんのお母さんでしょ、マリーちゃんに解らない事は、あたしたちには解らないわ。空間系の高等魔法を使って、幻体を操り、魔道具を作れる…」
「そして、人の心を読み、念和が出来て、遠隔で人のプライベートを盗み見る。よく考えるととんでもなく迷惑な存在だな!」
「え、そんな事も出来るの?一つだけ言えるのは、多分、人間じゃない!」
サリーが人差し指を立てる。
「人でなしって事か?」
「違うって、人間という種族でないって事よ!」
母さんが人間じゃなかったら?
「僕、自分自身は間違いなく人間なのですけど…」
今までの人生を振り返ってみる。うん、人間だ多分!
「マリーちゃん、胸に手をあてて考えて、瀕死だったのに数時間で全快して、呼吸するかのように回復魔法を使って、重力を自由に扱って、メロンみたいなおっぱいの生き物、これは人間ですか?」
「間違いなく、人間じゃないですね、強いて言えばおっぱい魔神!」
ウニ奴が答える。とりあえず、おっぱい圧殺の刑を与えてやった!
「ふぅ!窒息するとこでした!」
ウニは顔が赤く幸せそうだ!
ご褒美だったか!
「話は変わるが、迷宮都市って何なんだ?」
「迷宮都市は、幾多の英雄譚の舞台となった昔からある都市で、ガンダーフ河の遙か上流にあったとされるわ。けど、百年位前の三つ巴戦争、黒竜王、精霊王、赫の魔王たちの戦いで塩の砂漠に埋もれてしまったと言われているわ、数々の秘宝とともに、歴史から消えてしまった都市よ」
サリーはもう限界が近いのが、大地に横たわる。
「けど、迷宮都市は現存する。僕が入ったのは母さんの宮殿だけだけど、確かに迷宮都市って言ってた」
「じゃ、迷宮都市に入る方法を見つけないとね、けど、もう限界。宿屋いきましょ、因みにサリーはすかんぴんです!」
僕らは、スラムから街にもどり、一番近くの宿屋に入った。ゴタゴタのおかげか、直ぐにチェックイン出来て、相部屋だけどベッドが三つある部屋をとり、速攻寝た。あとは、明日に考えよう…