第二十一話 バーミング城へ
「それでは、今からキラ兄様は牛男さんとマグロちゃんと南にあるお城に行くのですね。私と海鮮3人は孤児院の運営で、寝ているベル様はお母様に見て貰うと言うことでいいですね。あと、キラ兄様の帰りが遅いときは食事も済ませるということですね」
リナは真面目な顔で僕に問いかける。僕は鷹揚に頷く。
リナは物わかりが良くて助かる。さすが幼くして孤児院を運営してただけある。ベルやマグロだと脱線しまくって話が進まない。むしろカオスの方に悪化する。
僕は、牛男とマグロを連れて、まずは城門を出る。牛男の鋼鉄の冒険者認識票のお陰ですんなり通れた。少しどやってる牛男に少しムカつく。
バーミング城への地図は、先に冒険者ギルドで購入した。意外に地図の値段は高かった。
今は3時位なので、グラビティ・ゼロによるマッハダッシュで、遅くても夕方までには着くだろう。
「牛男。ついてこい」
僕はマグロを抱っこして走る走る走る。重力をカットしてるのでかなり速い。牛男も負けずに着いてくる。さすが牛男だ。
「ああ、夢のお姫様だっこ…こうやってあたしは大人の階段を上るのね。あ、キラ様、あたし大人になっていいすか?」
「重くなりそうだからやめれ」
「レディに重いは禁句ですよぉ。あ、分かりました。キラ様照れてるんでしょ、あたしのナイスバディで欲情しそうなんでしょ!」
「おい、そこら辺に思いっきり投げ捨てていいか?」
「ごめんなさい。悪かったですぅ」
マグロはきゅっと抱きついてくる。子供って体温たかいよな。
エンドレスにマグロに絡まれ続ける。人選間違ったかな…幼女を運んでる絵もよろしくないし…
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目的地のバーミング城は聖都の南の要害で、かつては戦術的にかなり重要な場所だったらしい。平和な今は伯爵が封ぜられ聖都の穀倉地帯になっている。
城は街道沿いにあったので、迷わず着いた。大きな湖の中央にある島に建てられてている。幻想的な美しい城だ。湖の中に浮かんでいるように見える。僕達は見とれてつい息を飲む。
城へは跳ね橋がかかっていて、僕らはそれを渡る。門番が見える。ミノタウロスと幼女を連れた男怪しすぎる。僕らは無事に通れるのだろうか?
「サリー様に呼ばれて来ました。私は冒険者のキラ・シドーです」
門番は確認すると行って引っ込む。むぅ、大丈夫だろうか?
「キラ様ですね、確認が取れました。中へどうぞ」
以外にも、僕たちは殊の外すんなり城に入ることが出来た。サリーの言づてでもあったのだろうか?
僕達は城の通路を進む。