第二十話 混沌の露天風呂
「ベル様、お風呂に着衣はルール違反ですよ」
マグロがベルを脱がそうとする。
う、ギルティ君。そうだ、充電切れだった。
なんだかんだあったけど、ベルが元気になって良かった。
「まて、マグロ、それよりベルしばらく寝込むんじゃなかったのか?」
僕は本当に心配してたのに…
「寝込んでるわよ。けど、こんな楽しそうな事に参加しない訳ないじゃないかしら。ごちそう様でした。お休みなさいかしら」
ベルはそう言うと、その場で横になる。もう、寝息が聞こえてる。一体なんなんだこいつは?
ガラッ!!
また、入り口の扉が開く。
「マリー姉様。お待たせしました。お背中流しに参りました!」
リナだ!
胸から大きめなバスタオルを巻いてる。見惚れてしまいそうな満面の笑みで僕を見てる。
『マリー母様!』
次はリナの後ろから孤児院の女の子たちがわらわら入ってくる。
「突然ー!目指すは、マリーのおっぱいよー!」
次は、バスタオルを巻いた、母さんが登場する。
とりあえず、僕は露天風呂の中に逃げる。
「マリー様、魚人でも入浴できるようになりました!」
僕に魚人バージョンのマグロが抱きついてくる。ヌルヌルしててとっても気持ち悪い。
「マグロちゃん、マリー様は渡しませんよ!」
瞬時にしてリナが僕に抱きついてくる。
花の咲き乱れる露天風呂で、美少女と魚人に抱きつかれて、幼女に囲まれている。
カオスだカオスすぎる!
もう、訳がわかんない、どうにでもなれ…
僕の意識は遠くなっていった…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「マリー姉様。よかった気が付いて!」
リナががばっと抱きついてくる。
ドクン!
ドクン!ドクン!
きやがった!いつものあれだ!
いいのかわるいのか、僕の格好はひらひらなネグリジェだけだ…
さっきベルを寝かした、天蓋つきのベッドに寝てたみたいだ。
「リナ。変身する。離れてくれ!」
「嫌よ。マリー姉様。離れたくない!」
リナは更に強く抱きしめてくる。柔らかくて、気持ちいい!
なんかいい香りもする。
僕は、リナの腕の中で変身する。うう、服背中から破れてるよ。セミの脱皮みたいになってるよ…
「キラ兄様。会いたかった!」
更にリナが抱きしめてくる。
「どっちでもいいんかい!」
「はい!どちらも等しく大好きです!」
さすがに女の子を引き剥がす勇気はなく、しばらくなすがままに抱きしめられてた。
隣にはベルが寝ているのに。
「もう、離してくれないかな?」
「すみません、二人きりって思うと、我慢できなくて…」
「隣でベルも寝てるんだけど…」
「あっ、そうでした!」
リナは顔を赤らめる。やっと解放してもらえた。
僕は立ち上がる
「リナ、少し後ろを向いてくれ」
リナが後ろを向いてる間に収納から服を出して着替える。
「まずは、孤児院に帰ろうか」
「わかりました。リナについてきて下さい」
リナは右手で僕の左手を握り部屋を出る。
歩きながらさっきの顛末を聞くと、母さんとリナで僕とベルを運び、マグロと海鮮ズと牛男で子供たちを入浴させたそうだ。
「リナはここで迷わないのか?」
「マップをもらいました」
マップがあると、迷わないらしい。僕にもくれないかな。
ベルハウスにつき、とりあえず、リビングのテーブルにつき、今からの作戦を練ることにした。