第十八話 聖女、マグロに襲われる
「お、お前!マグロなのか?」
僕はおそるおそる前を見る。ほぼ裸の女性は僕には危険過ぎる。
マグロ?は小さなタオルで前だけ隠して、僕に近寄ってくる。
ありがたい事に腰から下は濁り湯で隠れてるが、魅惑的な上の方が見えそうだ…
なんて言うか、言葉にうまくできないけど、健康的で、減り張りのある体にアンバランスな幼い顔。要はとっても可愛いのだ。
「マグロに決まってるじゃないですか!」
少し掠れた感じの声もまたいい感じだ。
「なにいきなり大人になってんだよ!」
「大人の方がいいに決まってるじゃないですか」
確かに、子供よりは大人のほうがいいが、いきなり入ってくるのは反則だ!
といってもここは女湯だったか…
「さっきマグロに変身した時に、なんかまだやれる感があってですね、もしかして大人になれるかもって練習したら、結構簡単にいけたっす!」
「やれる感ってなんだよ?そんな簡単なものなのか?」
「まあまあ、そんなことどうだっていいじゃないですか。上手くいったんだし!」
さらにじりじり近寄ってくる。僕は逃げる。距離感ない奴だな。
「マリー様の背中流すのに、子供ではちょっと失礼かなと思いましてね!」
マグロは僕の隣に座る。押さえてたタオルは取れて、濁り湯で隠れてはいるが、胸の上の方は見えている。
「正直大人の方が失礼だわ!」
僕はいたたまれず、視界に入れないようにする。
「あれ、マリー様、おかしいですね、照れてるんですか?女同士ですし、そんな布切れ取りましょうよ!ねっ!」
マグロは素早く僕に抱きついてきて、タオルを取ろうとする。僕は抵抗するが残念ながらマグロの方が力が強い。
「ギルティ君!完全にギルティじゃないのか?」
叫んでギルティ君を見る。
「はい、完全にギルティですけど、燃料切れです…」
あ、何度もマグロにビーム出し過ぎたのか…
「観念してください。お宝いただきます!」
とうとうマグロにタオルを取られる!
マグロが後ろから抱きついてくる。背中に直になにか柔らかいものがあたる。やばい、すべすべで温かい!
なんか後ろから抱きつかれてばっかだけど、やむなし!
正面は無理無理!
「無念…時間切れ…」
マグロがとても残念そうに言う。
急に、背中の最高の感触がぬめぬめした最悪のものに変わる。そのおかげで失神は免れた。僕を抱いていた手も小さくなって解放される。
タオルを胸にあてて後ろを見ると、手足の生えたマグロが横になってぷかぷかと浮いていた……




