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第十七話 聖女、昼の温泉に入る


「牛男、ギルティ君を貸してくれ」


 牛男はずっとギルティ君を大事に抱えている。ごついミノタウロスが可愛らしいウサギのぬいぐるみを抱いているのは違和感ありすぎだったけど…


「かしこまりました。ご主人様」


 牛男は恭しく僕にギルティ君を差し出し、僕はそれを受け取る。


「今だったら多分30分くらいで全快するはずよ、母さんは用事があるから、またあとでね」


 母さんは温泉の暖簾の前でそそくさと立ち去る。多分、ろくでもないことを企んでるのだろう。


「牛男、お前も温泉に入れ。しっかり疲れを取るんだな」


「ありがとうございます。ご主人様」


 牛男は最敬礼で頭を下げる。正直、みんな牛男みたいだったら僕の苦労も減るんだが…


 僕は女湯の暖簾をくぐって脱衣所にはいる。当然牛男は男湯に向かった。僕の後ろにマグロもついてくる。本当は牛男と男湯に入りたかったんだけど、マグロがいるからしょうがないか。それに、今は女の子だしね。


 僕はバスタオルを出して体に巻きながら脱ぐ。マグロがガン見している。マグロにそう簡単には裸は見せん!


 まぁ、あんまりマナーはよくないけど…


「マリー様、先に行っててください。準備がありますから」 


 ん、準備ってなんだ?すぐに着いて来るもんだとばかり思ってたけど。


 マグロは何の準備をする気なんだ?


 なんか怪しいな。警戒すべきだろう。


 僕は安全のためギルティ君を胸に抱いて脱衣所の扉から出る。


 おお、この露天風呂は夜も素晴らしかったけど、昼も絶景だ!


 ここは見るところ山の中腹にあるのだが、露天風呂から見て結構下に雲海が見える。という事はここはかなり標高が高い所にあるんだな。


 僕はしっかりと体を洗ってそれを濯いで、露天風呂に入る。


 念の為にギルティ君は温泉のふちに座らせる。これでエッチなハプニングは防げるし、セクハラも防げるはずだ。


「うぁあー」

  

 ついおっさんみたいなため息が漏れる。


 僕はしっかり浸かって温泉を堪能する。


 僕を取り囲む景色もすばらしい。


 おお最高だ!


 心も体も癒される。




 ん、それにしてもマグロ遅いな。


 何してんだろう?



 ガラガラッ!!



 勢いよく扉を開けて、フェイスタオルで前を隠した、女性が入ってきた!


 誰だ?


 赤い髪にポニーテールに愛嬌のある顔。


 もしかして…


「マリー様お待たせしました!準備完了っす!」


 マグロか!


 マグロなのか!


 か、可愛い!



 ドボン!!



 マグロは勢いよく浴槽に飛び込んでくる。


 入る一瞬、いろいろ見えた気が……


 僕は耐えられず咄嗟に後ろを向いた…


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