第十二話 サリーとの再会
「さよなら、マリー、悪いけど私は今は貴族だから、もうあなた達とは二度と会うことはないと思うわ!」
サリーは、悲しそうな顔でそう言うと、僕達を一瞥し取り巻きの貴族達をを連れてギルドから去って行った。
僕は呆気にとられ、訳もわからずただそれを見てるだけだった。
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時は少し遡り、マグロのお陰でやっとの事でギルドに着いた僕達は、少し辺りを観察したあとテーブルに座ってる冒険者たちから色々話を聞いてまわってた。
スラムに豊穣の天使が現れた事。
街に女物の下着を顔にかぶった変態が大量発生した事。
それらの事で噂は持ちきりだった。
僕はやりきれない思いになった。心の中で謝る。スミマセン、それらは全て僕達の仕業です。
その噂話の中に、僕達が知らない事があった。いままで見たことのないような巨大な魔石が競売にかけられたという話だ。それが妙に僕の頭のなにかにひっかかった。魔石と言えば、封魔のロザリオと聖杯の事を思い出した。さすがに関係ないとは思われるけど。
僕たちは、冒険者たちに飲み物を奢ったり、情報料を払ったりして、噂を集めていた訳だけど、その目的は、黄金認識標の冒険者について、特にサリーについて知りたかったからだ。約束どおりきっとサリーは痩せて立ち直っているはずだ。
冒険者の私生活などについては、ギルドは教えてくれない。守秘義務があるからだ。冒険者の事については冒険者に聞くしかない。
けど、おかしな事にあの目立黄金認識票の3人については全く噂話がなかった。当然、3人を知ってる者はいたのだが最近はギルドでは見ていないらしい。
僕たちは、聞き込みに少し疲れて、端のテーブルでジュースを飲んでいた。
突然ギルドの人々がざわめき始める。
ギルドの入り口の方を見ると、その雰囲気に似つかわしくない華美な服装の一団が入ってきていた。多分貴族だと思われる。その集団の中央には懐かしく、僕にとっては忘れられない顔、サリーがいた!
サリーは別れる前のように、痩せてて、胸が大きく、とっても可愛い!
僕は胸を弾ませてその集団に歩み寄る。
「サリー!久しぶりだな!会いたかったよ!」
僕は駆け寄るが、取り巻きに阻まれる。
サリーは、僕を見ると、汚いものを見るかのように顔をひそめて踵を返した。そして、冒頭にもどる。
何だ?
どういう事なんだ?
僕はしばらく呆然とたちすくんだ…