第十話 新たな厄介者たち
「母さんは、マグロちゃん欲しいわ!」
いつのまにか僕の後ろに母さんがいる。寝たんじゃなかったのか?
あいもかわらず自由だな…
「だめだ母さん譲れない。こいつらも僕達が全員孤児院で育てる。なんといってもまだ子供だからな。安心しろ。お前らも全員今日から僕の子供だ!」
4人とも、涙を浮かべている。
とりあえず全員ダボッとした服を着せている。孤児院にあったありあわせだ。
「ところで母さん、こいつら何で子供になったんだ?」
「んー、多分ねー、進化の秘薬って奴が変に作用したんじゃない?調べてみたところ、完全に子供で邪神への変身能力はあるみたいね」
さっきの海鮮たちって実は邪神だったのか!
少し格好いい!
母さんは少しづつ消え始める。
「じゃ、おやすみなさい」
そう言うと消え去った。まじ自由だな。
「マリー姉様、この子たちの名前はどうしましょう」
リナは相変わらず僕の腕にひっしとしがみついてる。うまいこと胸が当たらないように。少し悲しい…
「マリーのネーミングはなしかしら。イカ男とかマグロ子とかになるわよ」
ベルは僕のもう片方の手を両手で握りしめて、ごいごい魔力を吸っている。
なんでだろう?
「ベル、なんで、そんなに魔力吸いまくってるんだ?」
「母様から聞いたけど、マリーって溜まるとああなっちゃうのよね。溜まる前にベルがいっぱいいっぱいいっぱい吸い取ってあげる!ベルにはたくましいマリーはまだ早いのかしら!」
「…………」
海鮮4人組が、目を丸くして、僕らを見てる。
ベルうまく言葉を濁してはいるから、僕の変身体質は伝わってないだろう。
「大変失礼な事をうかがいますが、もしかして、マリー様はニューハーフであられるのでしょうか?」
ごつめ角刈りだったタコ君が顔を赤くして本当に失礼な事を尋ねてくる。
「ん、何の事だ?」
「あのぅ、ベル様が、マリー様を吸うって、そう言う事でではないのでしょうか?マリー様、話し方男の子っぽいですし…実は逞しいものがついてたのですね!」
マグロが、上目づかいで、勘違いして爆走している。
可愛らしい子供の顔で、変な事言わないで欲しい!
こいつにはギルティ君がマストアイテムだな!
「お前、もしかして、プロフェッショナルだったのか?」
ベルとリナは小首をかしげている。
うんうん、君たちにはまだまだ早い。
大人の会話だ。相手は、幼女だけど…
「いえ、私は戦闘職でしたので、基本的には見る方が専門です。それはもう、様々なプレイをのぞき見してきました!そっちの知識はプロフェッショナルです!お役に立てますよ!」
役にたたんでもよろしい。
マグロは、無い胸をはる!
新たな爆弾を抱えた気がする………
「あんたたち、何いってんのかしら?マリーは完全完璧に女の子よ!この胸もリナと違って天然物よ!」
ベルは、勢いよく、僕の胸をもみしだく。ぶりんぶりん揺れる。くすぐったいから止めてほしいものだ。
「あ…溜まったかしら!」
そう言うと、ベルは片方の手をポケットに入れる。ん、今なんかポケット膨れたような?
「ベル!なんだそれ?」
「ま、マリーから、貰った魔力で余ったのは魔石にしてるのかしら。いざというときのために…」
歯切れが悪い。そう言えば、ベルがあげてる小遣いよりもお金持ってると思ったら、多分これを売ってたんだな。
「我々はここで今までの名前は捨てようと思います。なにがきっかけで、足がつくかわかりませんし…」
長身だった男改めイカ君は、冒険者認識票を首から外す。他の3人もそれにならう。僕はそれを受け取り、収納にしまう。
「ベル様失礼ですね、私の胸も天然物です。触ってください!」
リナが、大声をだす。リアクション遅いな!
「お姉様がた、女の子同士でですか?」
マグロ、もう止めよう!
「早く我々に名前を!」
知るかタコ黙れ!
ああ、収拾が付かない…
めんどくさい…
「すまん!本当にもう疲れた。名前は明日でとりあえず寝よう!」
僕らは有無を言わさず、孤児院に戻り、子供達の所で雑魚寝した。