第九話 海鮮たち
「進化と言うか退化してるよな…」
進化の秘宝というからかっこいい魔神にでもなってくれるとおもいきや、角刈りはタコ、糸目はイカ、忍者君はウニ、メイスさんは手足の生えたマグロさんみたいなのになっている。寿司屋が開けそうだ。
「キャー!」
リナは高速で僕の腕にしがみついてくる。かわせない。腕に幸せな感触が!
「きゃああ!」
わざとらしくベルも駆け寄ってくる。とりあえずかわす。
「リナだけずるいかしら!ベルも怖いのー!」
「はいはい!」
ベルに手を差し出す。きゅっと掴む。照れてて可愛いらしい。
む、両手に花で、戦えない!
「牛男!軽くもんでやれ!」
「かしこまりました。ご主人様!」
進化した方々は、残念ながら地面に伸びている。多彩な攻撃で、かなりの戦闘能力をもってたが、僕の牛男の敵ではない。死んではいないけど、ぴくぴくしか動けない。
「悪いけど、少し僕を解放してくれないかな」
僕の手につかまってうっとりしてる二人に言う。ベルは当然のように僕から魔力を吸っている。リナは途中で胸が当たってるのに気付いて、軽く腕をくんでる。少し未練!
「ごめんなさい。お兄様」
「キラ、ありがとうかしら」
二人とも、もじもじしながら僕の手を、離してくれた。
「牛男かもん!」
僕は建物の陰でマリーにチェンジする。うう、痛い…
着換えて戻ると、満面に笑みでリナとベルが駆けてくる。
「マリー!」
「マリー姉様!」
ベルは飛んで来て僕の胸に顔を埋める。リナは後ろから僕に抱きつく。胸あたってるって!
「マリー!、あいだがっだー!」
ベルはぐしゅぐしゅ泣いてる。さっきもいただろ!
それを見てリナも涙ぐんでる!なんか悪いことした気になる…
「嬉しいんだけど、あいつら癒してやらないとだから、少し時間くれないかな?」
二人は離れるが、ベルはスカートの裾、リナは服の袖をがっちり掴んでる。子供かよ! だけど可愛い!
僕は海鮮達に、順番にタッチヒールをかけていく。そう言えばいつのまにか、母さんがいない?
『ねむいのよー!』
念話が届く。おばさんだからしょうが無いか。
超人にならなくて、しかも契約魔法が消える程度に癒していく。ぬめぬめしてて、磯くさくてなんか不愉快だ。
『すみませんでした!』
シルバーズは僕たちに、土下座している。けど、なぜか4人とも10才位の子供になっていた。