第五話 聖女かゆを炊く
「はい!並んで並んで!」
僕は牛男と一緒に孤児たちを並べる。ぼろぼろな服で皆ガリガリだ…
「グラトニー!はい次!グラトニー!はい次!」
ベルに補給しながら、全員を肥えさせる。子供だから、そのキャパシティ故にか、幼いほどぽっちゃりに仕上がった。
それと平行して、芋がゆを炊いた。まずは、さつま芋をぶった切って水につけてアクを抜く。次に僕はほとんどの食べ物にニンニクを入れる。
お粥も例外でなく、まず、鍋底に常温で油と粗みじんのニンニクを入れ、弱火でゆっくりゆっくり火を入れて、キツネ色になった所で鍋から外し、酒を少し入れて、鍋を回しアルコールを飛ばす。
それに、洗った白米、水、ぶった切ったさつま芋と塩を入れて蓋をして炊く。強火で、沸いたら弱火で、少し蓋をずらして吹きこぼれないようにじっくり炊く。米の芯が無くなったらいつでも食べられる。
なんだかんだで1時間位はかかるので、子供達は牛男とベルと遊ばせとく。粥は、僕とリナで作った。子供達は二十人いるので、院にあったでっかい鍋を使う。
子供達を並べて粥をよそってやる。ほとんどの椀は欠けたり、ひびが入ってる。これも買わないとな。
牛男は、ウッシーと呼ばれて、子供達のヒーローと化してた。やはりいい奴オーラ出してるだけはある。以外にベルも懐かれてた、精神年齢近いからであろう。
『いただきます!』
皆で唱和する。バラバラ感が幼稚園みたいだ。
「本当に、こんな高価なものをいいのですか?」
リナさんが、おずおず尋ねる。服は修道服に戻ってる。あ、そういえば、米ってくそ高いんだった。弱った体にはお粥ってのりで行ってしまったが…
「遠慮しないで、食べるのよ!あと、皆、熱いからふーふーするのよ!」
子供を威嚇しないよう、女の子っぽく振る舞う。
『はーい!』
子供達は、涙ぐみながらがつがつ食べる。いかん、涙が移る。しばらくろくなもの食べて無かったんだもんな。粥ごときで泣くな。明日からもっとうまいもん食わせてやる!
「今日から全員僕の子供だ!死ぬまで絶対にひもじい思いはさせん!代わりにいっぱい働けよ!」
僕は我慢できず叫ぶ。子供達は椀を置いて次々に僕に泣きながら抱きついてくる。いかんこういうのには弱い。僕は涙が流れながら、一人づつはぐしていった。