第三話 ベル、シスターを買う
「はー!満腹だわ!」
ガリガリだったシスターは、ベルの魔法で普通の体型になった。
「神の奇跡?もしかして、女神様?」
シスターが目を丸くしてベルを見る。
「女神と言うよりは、多分悪魔だと思うよ!」
僕は間違いを正す。
「そうかしら!これで、お前はもっと高額で売れるわ!」
ベルが最高の笑顔でシスターに言う。本気じゃないよな?ベルがどれだけ僕の下でコモンセンスを学んだか、少し見てみる事にした。僕はベルを見てゆっくり頷く。
「解ったかしら!ベルにまかせて!マリーの考えはまるっとわかるわ!」
ベルはそう言うと、収納からふりふりのメイド服を出す。
「さあ、お前これに今すぐ着換えるかしら!もっと付加価値がつくわ!」
ベルは笑顔で服を差し出す。
「ひっ、こんな面積の少ない服、着れません!」
シスターがベルに怯えている。
「まだるっこしいかしら!力づくよ!分子…」
「ベル!ギルティ!!」
「アイアイアイアイアーッ!」
ギルティ君の光線がベルに刺さる。やっぱり危険生物だ。こいつ全く何も学んでないな…
「安心して、シスター、私たちはあなたをより高額で売り飛ばそうとはしてないから!」
僕は優しく出来るだけ女の子っぽく話す。ヒートアップすると口調が戻るので気をつけないと。
「そうよ、お腹減ったんじゃないかしら!これを食べるのよ!」
ベルは皿に乗ったアンブロシアを差し出す。いつの間に準備しやがった!茶色くて湯気が出てる。汚すぎる絵面が!
「これって、犬の糞ですか?」
シスターがドン引きしてる。
「違うわよ!ベルが出したのかしら!」
「あなたが…出した………を、食べる?」
間違いなくシスターは勘違いしてる。
「ベル!しばらく会話禁止!アンブロシアも禁止!」
僕はアンブロシアを嫌だけど収納にしまう。少しベルが悲しそうな顔をするけど、可愛くても駄目!話しが進まない。
「さっきのは一応、食べものです。品性を疑う形してますけど」
僕の説明にベルがしょげる。しょうがないので近くに行って、頭をポムポムする。
「決して悪気はないので、許してくださいね」
僕の言葉で、シスターは少しは警戒心を解いてくれたように見える。
「それで、身売りされたそうですが、いくら位お金借りてたんですか?」
僕は優しく問いかける。
「大金貨十枚借りてまして、今後、私の体で稼いだ分の一割は孤児院に納めてくれるそうです…」
シスターはたどたどしく語る。身売りはやっぱり嫌なんだろうな。
「お買い得かしら!買った!!ベルが美人シスター、大金貨十五枚で頂きます!」
ジャラン!
ベルが大金貨十五枚、テーブルに叩き付ける。
「えっ!」
シスターは目を見張り、身を乗り出した!