第二十一話 聖都に到着
「いち!にー!いち!にー!」
馬の歩きに合わせて、ベルが口ずさむ。僕と目が合うと、お互い赤くなる。かわいい!
プイとベルは目をそらす。
僕たちは朝早く出発して、御者台の上は僕とベルだ。昨日まではベタベタしてきたベルが、微妙に距離を開けてる。もしかして…
ちなみに、モミは荷台で寝てる。気持ち悪いらしい。まあ、当然だ酒飲んで暴れるからだ。
牛男は荷台で黙々とトレーニングしてる。スタンスの広い腕立てふせを、エンドレスに続けている。
「あのね、聞いて、ベルはマリーのこと好きよ!」
ベルが目を伏せて言う。
「けどね、好きであって、愛ではまだないのよ!」
「え?」
ベルがしどろもどろになりながら、訳の解らん事を言う。
「昨日、モミがいったのかしら!マリーは女の子が好きって!」
「うん、女の子は好きだ!特にかわいい女の子は!」
ベルが真っ赤になりながら僕を見る。
「それって、告白ってやつかしら!マリーもベルの事好きなのね!」
ベルが、手綱から片手を離し、僕の手をきゅっと握る。そして目を伏せて…
「けど、昨日みたいな事はまだ早いと思うのかしら!」
問いただしてみると、モミが、僕が昨日ベルに大人のおもちゃを使おうとしたのではないかと言ったそうだ!
こんこんと諭して、ベルへの愛情は友情、家族愛みたいなものだと、納得させる。ちょっと残念そうだった。好奇心旺盛なお年頃なのだろう。ロリばばあだけど…
そうこうしてるうちに、街道の遠く先に城壁みたいなものが見えてきた。
「聖都よ!聖都かしら!」
ベルがはしゃぐ。やっぱかわいい奴だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「退屈かしら、マリーなんか芸するのかしら!」
元の態度に戻ったベルが僕に無茶ぶりをする。ここでなんか出来るようだったら、僕は冒険者目指してないだろう。
僕たちは、門通過の順番まちなうだ。
聖都はデカイ!
とてつもなくデカイ!
城壁は地平線まで続き、門の奥には山の上にある城みたいなのと、その前にも巨大な建物が林立してる。所々に高い櫓のような物もあり、鉄壁の守備を誇ってるのだろう。城壁も高く、登るのは容易ではなさそうだ。
行列は少しずつ進み、ようやく次が僕たちの番になる。ベルとモミは寝てたけど、モミが起きて御者台に来る。
僕たちの前の多分商人と思われる人の馬車は、積荷を全部下ろされて検分されていた。これは時間がかかる訳だ。
僕たちの番だ、モミが胸元から首にかけてるものを出す。
銀の冒険者認識標だ!
門番は、僕たちに一礼すると、すんなり通してくれた。
モミが初めて役にたった!
「モミ、シルバークラスだったのか!」
僕はモミに問いかける。びっくりだ!
「言ってなかったかなー?」
モミはどや顔で、指で認識標をもてあそぶ。
ベルも牛男も驚いてる。
どうりで強い訳だ!
僕たちは、希望を胸にゲートをくぐった。
これから、新しい冒険と出会いの始まりだ!
第五章 金色の勇者との別れと新たな旅立ち 完
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