第十六話 聖都へ出発
「それは、私たちに言ってるのかな?」
牛男がずいと前に出る。モヒカンより頭二つ分位デカイ。
「変なかぶり物しやがって、お前ら、このでくのぼうを血祭りにあげちまえ!」
モヒカンたちが牛男を囲む。鬨の声を上げて、牛男に襲いかかる。めいめいの武器で牛男を攻撃する。剣が、槍が、斧が牛男に命中する。牛男は微動だにしない。
「ハァハァ!なんだこいつ!」
モヒカンたちは、疲れ果ててか、攻撃を止める。
「こちらの番だな!」
牛男は巨大な斧を振り上げる。その腹で、モヒカンたちを殴る殴る殴る。一瞬で全員吹っ飛ばされ、リーダーモヒカン一人になる。
「服がぼろぼろだな!弁償してもらえないかな?」
牛男はじっとリーダーを見る。
「はっ!はいっ!今すぐに!」
モヒカンたちは、小金貨にして50枚ほど持っていた。まあ、ぼちぼちだ。中々の実力者だと思われるので、全員ふん縛って馬車に積み、一旦町に戻る。モヒカンたちを衛兵に引き渡し、接収した馬車は二台売って、一番綺麗な奴は貰うことにした。基本的に盗賊から接収したものは貰ってもいい。あと、衛兵に盗賊を引き渡すと、報奨金がクオリティに準じて貰え、彼らはこれまでやって来た事に応じて処罰される。肉体労働奴隷にほぼなるらしい。モヒカンと馬車で、さらに小金貨30枚ほど稼ぎ、次は馬車で出発する。
「待ってー、あたしも連れてってー!」
出発しようとした僕らの所に駆け寄る女性。
彼女はフードを外す。尖った耳に端正な顔、モミだ。
「なんだお前。夜逃げか?」
僕は一瞥もせず、馬車に乗ろうとする。こいつとは関わりたくない。顔とスタイルはいいけど、頭の中には多分スライムかなにかが詰まってる。素面の時はまだましだが、お酒を飲むと基本的にパンツを脱ぐ変態だ。酒乱なのに気が付いたら酒を飲んでる。しょうも無い奴だ。
「あんたたち、聖都に行くんでしょ!あたしも異動になったの!」
問答無用で馬車に乗り込んでくる。馬車の荷台には、先に牛男が乗っていて、御者はベルだ。
「お前、何をした?左遷だろ」
僕は目を合わせないようにして言う。こいつは戦闘狂だ、猿と一緒で目が合ったら襲いかかってくる。
「何言ってんのよ!出世よ、あんた達がばんばんワイバーン持って来たり、古代のゴーレムの魔石たくさん持ってきたりとかで、担当のあたしの職位が上がったのよ!」
そう言うとモミの姿が消えた!
「ヒヤッ!」
僕は悲鳴を上げる。僕の胸にひんやりとしたものが触れる。
「じゃ、聖都までよろしくね!」
僕の耳元でモミが囁く。僕の後ろにまわったモミが僕の胸に手を滑り込ませている。
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