第十四話 決闘状態での決闘
町に戻り、サリーのいないサリーの部屋に泊まり、次の日なんとなくギルドに向かった。牛男とベルとコーヒーを飲みながらテーブルに座ってると、他の冒険者からどよめきの声があがった。買い取りカウンターの所に人垣ができている。
「素材の買い取りを頼む」
なんか聞いた事のある声だ。ジェフ、クラン『セイクリッド・マローダー』の双剣使いだ。僕の因縁のクソ野郎だ。聖都に帰ったのかと思ったら、まだこの町にいたのか。復讐は聖都でと思っていたが、すこしからかってやるか。
「おう、うんこジェフ元気か?」
人垣の後ろから声をかける。
「誰だぁ、このジェフ様をうんこ呼ばわりしたのは!」
ジェフは耳がいい。特に自分への悪口はよく聞こえるみたいだ。
人混みをかき分けて、ジェフが来る。イリアとヘルメも横にいる。
「なんだぁ、お前は牛乳じゃねーか」
ガッ!
僕の横で牛男がイリアの杖を掴む。イリアは問答無用で僕を杖で殴りかかってきた。
「小娘、わたくしは生まれてこのかた、あんな屈辱を味わったのは初めてですわ」
「マリー、なにこの乱暴な娘は、屈辱ってなにしたのかしら」
ベルが僕の手を引っ張る。
「あ、こいつね、アナにかんちょーされて、うんこ漏らしたんだ」
『漏らしてないわ!』
イリアとヘルメがハモる。ヘルメがむきになるって事はヘルメも漏らしたのか。
「そっか、ヘルメももらしたのか、お前らおむつがいるんじゃないか?」
ヘルメの顔が真っ赤になる。漏らしたんだな。
「きったない奴らね、動物でも賢いのはトイレするのに」
ベルが更に挑発する。
「きいいいいっ!許さない!子豚!ぶっ殺す!」
あ、イリアが壊れた…
「お前にも同じ苦しみ味あわせてやる!」
ヘルメは杖を強く握りしめてる。やる気だな。
「決闘場に行こうか!三対三だついてこい」
ジェフは顔が真っ赤だ。恥ずかしいのか?怒ってるのか?
僕達はギルドの決闘場に向かう。冒険者ギルドには決闘場が併設されている。冒険者どうしのトラブルが発生したとき、話し合いで決着がつかないときには決闘が行われる。決闘場には完全結界が施されていて、あと高度な回復魔道具と回復薬が準備してあり、ほとんどの怪我は治癒出来るようになっている。それらが使われたときには割り増し料金を請求され、ギルドが若干儲かるようになっている。当然使用料もとられる。
決闘場は周りから丸見えなので、その一部始終は世間に知れ渡る事になる。
「生まれて来た事を後悔させてやるぜ」
威勢よく中に入るジェフについていく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ま、満腹だ…」
ジェフはセイウチみたいに床に寝っ転がっている。
「公開処刑完了!」
僕達は踵をかえす。
「わ、わたくしのナイスプロポーションが…」
イリアは胸を隠して女の子座りをしている。目鼻だちがはっきりしてるから、デブでも可愛らしい。
「巨乳!巨乳!」
ヘルメは自分の胸をおさえてトリップしている。
肥満でほぼ全裸の三人を置いて、僕達は決闘場を後にした。
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