第十三話 王様ゲームの決着
「じゃあ、始めようか!」
アナがどや顔でのたまう。
僕はくじをじっと見る。何処にも印になるようなものはない。くじの引く所になにか印を付けただろうと言う考えが盲点だった。よくよく見ると、一本だけ短いくじがある。アナは、くじの頭を削って王様のくじを短くしたんだ。そして、ベルに僕の番号を盗み見させて合図を送らせてたのだろう。
まだ、まだ、浅知恵だ!
勝利いただきました!
アナが立ち上がりくじを引こうとする。
「グラビティ・ゼロ」
僕は重力を解放して加速する。お酒が入ってるので気持ち悪い。
「なに!戦神降臨90%!」
アナも加速する。けど、僕の方が速い。僕はクジを引く。
「何だと!いつ気付いた!」
アナが呻く。
「ついさっきだ、危なかった」
僕はアナにどや顔で応える。僕の勝ちだ。
「それでは、次、私引きまーす!」
モモさんが次に引く。顔が赤いモモさんもお酒のんだのか?そして皆クジを引く。
『王様だーれだ』
皆で唱和する。
僕はクジを見る。
「……」
一番?
僕は訳が解らない?
モモさんがゆらりと立ち上がる。
目がトロンとしてて明らかに酔っ払ってる!
モモさんは僕の方に近づいて…
「王様は、一番にチューします!」
僕はモモさんに抱き上げられ唇を塞がれた!
僕の頭は当然ショートして、気を失った…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
僕は比較的すぐに目覚めた。僕はベルハウスのベッドの上で、隣にモモさんが寝てる。僕が起きたらモモさんも起きた。
「おはよう」
モモさんが抱きついてくる。お酒臭い!痛い!
「モモさん、離して、離して、それと、さっきの事話して」
「んっとねー」
モモさんは、ゆっくり話し始める。
いかさまに気付いたモモさんは、さらに自分の一番のクジを削り、僕を罠にはめたそうだ。僕をぎゅーして、チューしようと、ずっと狙ってたらしい!まさか、モモさんが搦め手を使うなんて、そこが盲点だった。けど、もし僕が男ってばれたら軽く殺されそうな気がする。
結果的には、僕はいいことづくしだった。モモさんのお尻をまじまじと見て、しかもチューまでしてしまった。モモさんほどの美少女とだ!
感無量!
僕は単純かもしれないけど。サリーとアルスの事が少し吹っ切れた。
僕たちはその後町に帰り、ゴーレムの魔石をギルドに引き取って貰った。それは大金貨三十枚になって、十枚はアナとモモさんに渡し、あとの二十枚はアルスの物として収納にしまった。アルスの呪いを解いて渡すつもりだ。
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