第十一話 聖女連行される
「ぶたーっ、しねーっ!」
オークを基本的にアナが一刺しで倒していく。凄まじい身体能力だ。華麗に舞い、眉間に槍を刺していく。そのたびに“ぶた”“ぶた”叫んでやがる。
中二病か?かなり度し難い。
ただ“ぶた”って言いたいだけだろう。IQとっても低く見える。顔が綺麗なだけ余計残念だ。
サリーに手を掴まれたまま、走る、アナがオークを倒す、ドロップアイテムをモモさんが回収するの繰り返しで、階段も数階降りた。僕はどこにいるのだろう?全くわからない。
そうこうしてるうちに、中央に石碑がある小部屋についた。見覚えのある構造だ。そうだ、これはフロアボスの前の部屋だ。
中央の石碑にサリーが近づく。
「タイタンを倒せ。倒せば道がひらける」
サリーが石碑を読む。すげーな、古代語が読めるのか。『セイクリッド・マローダー』のメンバーでは、イリアが辞書片手にようやく解読してたのに。
「あのさ、僕ってついて行く意味ある?」
どう考えても、僕は足手まといでしかない。解放してくれないだろうか?
「なに言ってんのよー、マリーちゃんも一緒に行くの。あたしたちが、守ってあげるから」
サリーは、首にかけてある、金の認識票を手に取って僕に見せると、僕の手を取って。引きずっていく。
「グラビティ・ゼロ!」
「きゃっ、なにこれ」
サリーも含め重力操作して、彼女が怯んだ隙に手を振りほどく。
「頑張ってね!僕は残る。足手まといだからねっ」
僕は逃げようとするが、瞬時に回り込んだアナに襟を掴まれる。
「それでは、私とサリーが前衛で、モモは後ろでマリーを守れ」
アナは相変わらず会話が通じない。あほの子なのか?
「言う事きけー!何でそんなに僕を連れていきたがるんだ?」
「私がそうしたいからだ!お前は私達が持ってないものをもっている!」
「何言ってやがる。何ももってない。僕はお前たちと違って無力だ」
言ってて悲しくなる事を口にする。けど事実だ。
黄金認識票の冒険者は冒険者の上から二番目くらいのクラスだ。ちなみにキラ・シドーの時は銀色認識票、彼女らに劣る。けど、駆け出しだったからで、実力的には遜色ないのではと思う。
「卑下するな!お前は素晴らしい。特に、その化け物じみたおっぱい!それで私達をサポートしてくれ」
「ばかかっ!おっぱいが戦いの役にたつはずねーだろ!帰るー!帰るー!」
僕は抵抗するが、アナの力にはかなわない。
モモさんが僕に近づいてくる。
「ごめんねー」
モモさんは僕を、腕をくんで引っ張っていく。ああ!腕にモモさんのプルプルなスライムみたいなものが!!
僕は誘惑に負けなすがままに引っ張られて行った。