第二話 ダンジョンの中の小休止
「よし、ここらで休憩にしよう!」
あと二匹蜘蛛を倒したあと、アルスが立ち止まる。広い通路の壁を背にして、アルスが座る。
「おい!ちんちくりん!なんか、探索系の魔法もってるか?」
アルスがベルに尋ねる。
「豚になりたいのかしら!あたしはベルよ!」
ベルに魔力が集まり始める。
ぱこん!!
取り敢えず頭をはつる。
「何するのかしら!ベルはちょびおこよ!」
僕は小声で!
「あいつをでぶにしたら、私達が戦うことになるでしょ!まだ、早いわ!」
なんか仕切ってるのが微妙にむかつくし、こちらを見てちらちら微笑むのももっとむかつく!あと、ちんたら戦ってるのもイライラする。
「ベルはハイエルフ様よ!耳がいいのかしら。なんか来たらおしえるわ!」
ベルは仁王立ちになり、胸を張る。ツインドリルが揺れる。残念ながら胸より腹が出ている。
僕達は、小休止することにして、壁にもたれて座る。アレスが袋から、動物の内蔵で作ったと思われる水袋を出し口にすると、こちらに差し出す。
「お嬢さん!飲まないか?」
満面の笑顔だ!普通の女子ならイチコロだろう。
誰が飲むか!そんな男の唾液が入ったきったねー袋入りの汚水を!!
その言葉を飲み込む。
「大丈夫よ!お水持ってるから!」
ダミーの袋から、竹で作った水筒を出す。そして、ベルに飲ませて、僕も飲む。
「ぬるいかしら!」
ベルがぶーたれる。
他に聞こえないよう、耳打つ。
「収納絶対禁止!出荷されるわよ!」
「りょ!」
少しづつ、ベルに僕の言葉が移ってる。
「その水筒見せてくれないかな?」
僕はガルガンさんに水筒を渡す。
「ほぅ、竹は珍しいな、東方の出身なのかな?」
ガルガンさんは先生みたいだ。
「先生!竹ってなんだ?」
アルスが割り込む。うぜー。
「竹というのは植物で、これが沢山重なった形をしてる。東方の人々がたまにこのように水筒にしてるのだよ」
先生は優しそうにゆっくり話す。僕も先生って呼ぼう。
「あ、私は西の方の山で生まれ育ちました。これは父の物で、父は冒険者ですから」
「冒険者。東方まで行ったことがあるなら、たいそうな腕利きなんだろうね」
先生の声は、テレビのナレーションみたいだ。渋い。
「あんまり、父の過去の事は知らないんです…」
僕は目を伏せる。目を伏せる美少女、これで勘違いしてくれるだろう。くそ親父の話はしたくない。知らないというか、知りたくない。思い出すだけで腹が立つ。
「息も整ったし、そろそろ行くか」
アルスの号令のもと僕達はまた、歩き始めた。
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