第二十五話 ワイバーンを収穫する
「おデブさん達!早くワイバーン狩って帰るのかしら!」
ベルはどこからともなく芋を取り出して食っている。
取り敢えず殺意が芽生えるが、僕は立ち上がる事もままならない。体が重くて。身体能力の低い僕にはこのデバフは痛すぎる。
「タイタン・ハンズ!プリズンブレイク!」
モモさんの左右に巨人の手が現れる。その二の腕も現れがんじがらめにしてる鎖が弾けて落ちて消える。
「なんてカロリー量!これでも足りないなんて…プリズンブレイクセカンド!!」
次は、二の腕まで現れる、同様、鎖がはぜて消える。辺りの空気が変質する。妖気?邪気?空気がピリピリする。徐々にモモさんが萎んでいく。
「なんとかなったわね、恐ろしい攻撃だった…」
元通りの美しい体型になったモモさんは、巨人の腕で剣と盾を構え、ワイバーンの方へ駆け出す。
「そうか!その手があったか!戦神降臨10%!!」
アナの体から金色の光が溢れ出す。
「うおっ!危ない!一気に90%までいったか!」
アナの体はみるみる萎み、元の体に戻る。落ちてる布を腰に巻くがお尻丸出しだ。裸エプロンみたいだ。槍を持って駆け出す。
「グラビティ・ゼロ」
僕は重力を制御してなんとか立ち上がる。収納からマントを出し、サリーにかけてあげる。
「サリー、どんな姿になってもサリーはサリーだよ」
僕はサリーの肩に手を置く。パツパツして赤ちゃんみたいな手だ。
「ありがとう。マリーちゃん、顔隠すものもってない?パンツ以外で!」
サリーは顔を覆ったままいう。
僕は無言でサリーに収納から出して前に買った仮面を差し出す。楕円形に棒状の目穴が空いただけのシンプルなやつだ。
「マリーちゃん、後ろ向いてて」
後ろを向くとサリーは仮面を受け取る。
「向いていいよ」
僕は振り向く。黒いマントを前で閉じて、仮面をつけてる。
「フフッ、マリーちゃんもぽっちゃりだ!可愛い!」
そうこうしているうちに、牛男も帰ってきてワイバーン狩りは終わった。
「皆さん、ごめんなさいでした!」
ベルが土下座してる。なんだかんだで、悪いことをした自覚はあるらしい。
「もういいって、私は少し胸が大きくなった気がするし!」
アナは怒ってないみたいだ。
「私もお腹いっぱいだからいいわ。鎧の修理費は請求するけど」
モモさんは髪を掻き上げる。
「あたしは、全てのエルフを太らせる魔法を開発するわ!」
サリーの表情は仮面でわからないが。多分激怒だろう。
「さあ、ベル森へおかえり。オークの仲間がまってるよ。所詮人間とオークは一緒に暮らせないんだよ」
僕は、もうエルフとは関わりたくない!ちなみに僕もマントを羽織ってはいる。
「マリー!お前もりっぱなオークよ!鏡を見るのかしら!」
ベルがぼくをビシッと指差す。
「牛男!取り敢えず、穴を掘れ!」
「承知いたしました。ご主人様!」
ドゴン!
牛男のパンチで穴が空く。太っても力は健在だ。
「キャー!ごめんなさい!ごめんなさい!」
僕はなんとか冷静になり許してやる事にした。こいつがいないと変身を制御できないからな。
僕達は、ワイバーンと装備の破片を僕の収納に入れて、町へ帰る。
でぶゾーンは大体半径100メートル位にも及んでた。
僕はサリーと手を繋いで重力制御しながら帰った。サリーは終始無言だった。
町に着いたら夕方で、僕らはギルドで獲物を買い取ってもらう。
「キャハハハッ!」
モミが僕とサリーを見て盛大に笑う!
「あんた、マリーよね!太った巨乳は只のデブよ!」
くぅ…僕も仮面つけとけば良かった!
買い取りは驚く額で大金貨85枚になった。これを三人娘と僕で四等分21枚づつと、エースのモモさんが一枚多く取る事で話がついた。モモさんの鎧の修理費で大金貨5枚払い16枚大金貨が残った。牛男とベルを養ってもしばらくは余裕がある。
僕達はお腹がすいてないので、帰ってシャワーを浴びて寝ることにした。アナ、モモさんは自分の部屋に帰って、僕はベル、サリーと川の字で寝る。
今日は寝てるとき何もなかった。逆に少しさみしい気もする。終始サリーは無言で最低限しか話さない。なんか方法を考えないと。
僕は眠りにつく。
起きるとサリーはいなかった。書き置きだけを残して……
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