第二十話 聖女は寝室でも狙われる
「うーん、く、苦しい…」
僕は締め付けられる痛みで目を覚ました。
僕を抱きしめて、誰かが僕の胸に頭を埋めてる。お腹には、柔らかい何かがあたっている。背中からも誰かに抱きしめられている。
何だ、何が起こっている?
確か、僕は風呂場で倒れて…
冷静に考えろ。僕に埋もれてるのは、サラサラな髪と適度な胸ということは、モモさん。
背中に抱きついてるのは、慎ましい胸ということは、ベルかアナ。辺りを見渡したいけど、がっちりホールドされている。けど、大きさからアナと思われる。
「起きたのね。私の番!」
モモさんにがっちり頭をつかまれる。
何の順番だ!
端正な顔が近づいてくる。
なにゆえ美少女たちにねらわれにゃあかんのだろうか?
「助けてー!火事だー!」
ガバッ!
みんな起きる。確か痴漢に遭ったときは助けてっていうよりも、火事だって言ったほうが人が出てくるって聞いた事がある。
助かった!
どうにかモモさんから助けてもらい、事情確認することにする。
「光よ!」
サリーの魔法で回りが明るくなる。
ここはサリーの寝室でいつの間にかベッドがもう一つ増えている。僕を挟んで、アナとモモさん、隣でサリーとベルが寝てたようだ。
「よろしくないわね。私でも我慢出来ない。マリーのそばにいるとぎゅーしてちゅーしたくなる」
モモさんがさらっと言う。
心臓に悪いので、止めて欲しい。
「マリーの抱き心地は最高だ!なんかいいにおいするし!」
アナが変態っぽいことをのたまう。話しが進まないし、何でこうなってるのか解らない。
「それで、なんで僕は二人にハグされてたんだ?」
まとめてみるとこういうことらしい。サリーが無断で僕と入浴し、しかもちゅーしてた。
それはけしからんということで、今後はみんなで入浴する事になった。
寝るときも抜け駆けなしということで、みんなで寝る事になった。寝る場所は順番でスライドする事にして、今日ちゅーした、サリーとベルは今日は除外でこの配置になったらしい。
協議の結果、ぎゅーはオッケーで、ちゅーと生タッチは禁止ということになったそうだ。
僕の意思が関係ないのは今更だけど、みんなで寝るはまずい。
いつか変身を見られるだろう。
「めんどくさいから、今日の所は、そう言う事にしといてやるが、一緒に寝るときは、必ず、ベルと手を繋いで寝たい。魔力吸収されてるほうがよく眠れるからだ。あと、起きてるときはぎゅー禁止!また、失神してしまうから!以上!」
僕はベルの手を握ると布団に潜り込む。今日は疲れた。誰が隣に来ようが取り敢えず寝たい。
僕は瞬時にまどろんだ…