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第一話  竜騎士追放される


「じゃあな、キラ、お前は追放だ。これでお前と『セイクリッドマローダー』は無関係だ」


 ジェフは、双剣を鞘にしまい冷たく言い放った。


 なんて奴だ。僕が弱くなったとたんに手のひら返しやがって。


『セイクリッド・マローダー』、それは僕たちが今所属しているクランで、聖都最強の冒険者集団だ。


「そうね、戦えないなら不要ね、ていうかむしろ邪魔かしら」


 イリアの冷たい声が聞こえる。振り向くと僕に背を向けて、金髪の縦ロールを揺らし歩いて行った。兜がずれるお陰で余り視界がよく無い。


「足手まとい。いらない。ここで別れる」


 ヘルメが抑揚のない声で呟く。灰色のローブにフードを目深にかぶっている。彼女は知識の神に仕える神官だという。彼女くらいは僕を助けてくれるかもと思っていたんだが。満場一致、選ぶ仲間を間違ったな。しょうがない。遠くから彼らの後をついていったら地上には帰れるだろう。


「解った。ここでお別れだな。では、こいつはもらうぞ」


 僕は自分の分のトレジャーボックスに手をのばす。


 我ながら自分の声に戸惑う。何だこの声、甲高い、女の子? 僕じゃないみたいだ。


 けど、実際今までの僕ではないのだろうけど。


「グワッ!」


 誰かに後ろから攻撃されて転倒し、地面にこすりつけられる。


「悪ぃ、悪ぃ、足が滑った」


 なにがどうして、足が滑って人を蹴るんだろうか。


 四つん這いで、なんとか首を上げて見るとジェフが笑みを浮かべている。鎧が邪魔で立ち上がれない。ジェフの長身が見上げるとさらに際だってみえる。


「おめー、ほんとにキラか? 鈍くさ過ぎるだろ。お前の分のトレジャーは無い! お前はフロアボス見て逃げてったんだからなぁ」


「何言ってやがる! ジェフ!」


「キラ、おめーは初めっからムカついたんだよ、べらぼうにつえーし、奇麗事ばっかりほざきやがるし、女にもてるし……」


「はいはーい、喧嘩はここまでよ、準備出来たわよ、ワープポータルの移動先を下層ランダムに書きかえたわ、わたくし程になったら造作ない事よ」 


 イリアが嬉しそうに僕に近づくと僕を踏みつけた。


「ヘルメ、キラをポータルに突っ込んで、キラの分のトレジャーは三人で分けましょう」


「ぐあっ!」


 僕はイリアに地面に押しつけられる。こいつこんなに力強かったのか……


「いいね、それ、キラは逃げたんだもんな」


 ヘルメは抑揚なくそういうと、僕の足を掴み引きずる。そして部屋の隅に光るワープの魔方陣に僕を投げ込む。


 魔方陣は光を放ち、僕の周りの景色が歪む。下層ランダム! まずい、何てことしやがる。イリアの言葉が確かなら何処にいくか解らない……


「お前ら、覚えていろよ! 絶対死ぬほど後悔させてやる!」


 僕はせめてもと恫喝する。意に反して可愛い声だけど……


「俺も後悔してるよ、フロアボスを見たとたんに逃げ出すようなチキン野郎を仲間にしたことをな! ハーッハッハッハッハー」


「わたくしの役に立たなくなったお前なんてゴミと一緒よ、ゴミはゴミ箱に捨てないとね、ホーッホッホッホッ」


「雑魚、ゴミ虫、死ね、キャキャキャキャキャッ」


 哄笑をあげる三人の姿が歪み、僕は何処かに転移していった……


 

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