第4話「流されるまま目指す先」
私を助けてくれた女性…リリアと共に森の中を進む。
どんなに進んでも、どこを見ても同じような景色ばかりが続いているばかり…
ちゃんと進めているのか心配になってくるが、リリアはそんなことお構い無しにどんどん先へと歩いていく。
「あ、あの、こっちで合ってるんですよね…?」
「えぇ、間違いないわ。不安になるのも分かるけど、安心しなさい。」
時折、リリアはちらりと空を見上げる。
同じように見上げてみても、木々の隙間から僅かに空が見えるだけだ。
何かを確認してるんだろうか…
「…何か気になる?」
「えっ?あっ、はい…」
考えているうちにいつの間にかじっと彼女の事を見つめてしまっていたようだ。
まぁ、確かに気になることは多い。
空を見て何をしているのか以外にも、こんな森で何故迷わないのかとか、何故しっぽが生えているのかとか…
…最後のは後で聞けばいいだろう。
「何度か空を見てた?みたいに見えたので…」
「あぁ、日が沈むまでの時間を確認してただけよ。それまでに街に入りたいから…今のところ、どうにか間に合いそうね。」
「日が沈むと何かあるんですか?」
「…そうね、これは話しておきましょうか。」
歩くペースは緩めないまま、リリアは語り出す。
「ここには闇の魔物っていう…化け物がいるの。生き物を襲い…その魂を、魔力を喰らう事で力をつける魔物。」
「闇の、魔物…」
「人間だって関係なく襲われるわ。むしろ奴らの好物は人間…人間の魂は他の生き物よりも高い密度の魔力で構成されてるから。」
「それでも弱い魔物であれば、昼間なら太陽の光で奴らの力も抑えられて、戦う力を持ってなくても逃げられる程度になるわ。余程のことがない限りね。」
「でも夜は別。光の届きにくい夜は魔物が活性化して、より狂暴に、凶悪に…どんなに弱い魔物相手でも、ある程度身を守る術を持ってないと喰われて終わり。」
「特に、この森は強力な力を持つ魔物以外入れないようになってるから…夜になると面倒なのよ。」
人の魂を喰らう闇の魔物…そんなのがいるようだ。
ゲームで言う敵モンスターと言ったところだろう。
そしてこの森には強いモンスターしか入れない…逆に言えばそういった強いモンスターだけがここにはいるということ。
もし、あのままリリアに見つけてもらえずに…そう考えるとゾッとした。
「本当はどんな魔物も入れないようにしたいんだけど…それはまだ難しくて…ま、見つけたら倒すようにはしてるから、そこまで数はいないはずよ。安心しなさい」
不安感を悟ったのか、少しだけ私に視線を向けて微笑みかけてくれた。
ということは、その強い魔物を一人で…心強さに安心感を覚える。
それに加え、どこか…不思議な懐かしさも感じた。
…リリアは一体何者なんだろうか。