鏡像迷宮 9
一度、大幅に改稿しました箇所です。事前に推敲しないのですね。というヒドイ書き方ゆえ、こうなります。
さて結局のところ。僕は消極的態度により、失恋したのでした。当物語に於ける、夢野さんに該当する女性とは距離をはかるようになりましたね。
それは朋友の説得ゆえというよりは、みずから諦念を発したことによるでしょうか。
ここから再びメタファーを用いますね。夢野さんは人妻です。しかも母親と息子のような年の差がありました。理解しています。理解しているから、柳沢を前にして、僕は無言のまんま。
柳沢もしばらくは無言のまんまです。急所を突くと言いながら、ヤイバを鞘に収めてしまった格好です。
二人で、風を見ていましたね。
カフェの前を流れてゆく、冷たい風。光は春のものですが、この盆地では冷気が蟠るのですね。シンと冷えた風が吹く。
僕は風の先に何があるんだろうと考えました。それから何もありはしないんだろうと思った。今夜はまた独りで出掛けようと思った。それで月を見ようと思った。静かな月を見ようと、そう思いました。
モヒートの氷が溶けて、グラスが空虚にカランと鳴りました。
…続けさせて頂きます。