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鏡像迷宮 21

まだ続きます。果たしてダレトクなのか、という感じではありますが。まあ僕のオレトクなのでしょう。

 少女はやがて鬼籍に入りました。


 児童精神科病棟では重すぎるケースだったので、一般精神科病棟にうつり、その先で亡くなったそうです。


 …死因は腹腔大動脈損傷による出血。


 やはり隔離室に入室していたミドリでしたが、万全な保護体制を期しているにかかわらず、五枚もの古鏡(ふるかがみ)を手に入れ、ほおばり胃の腑におさめて亡くなった訳です。


 嚥下しつづけた鏡片はとうとう胃壁を(つら)ぬき、太い動脈をさらに刺し貫ぬいて、彼女のたましいを黄泉路(よみじ)へといざないました。


 …そんな異聞だけが(まこと)しやかに伝わってきたのが、秋冷のころでした。


 どうして、彼女の手元に古い鏡があったのか。


 隔離室はまたは保護室と呼ばれるくらいであり、つねに施錠されているうえ、キャメラが作動しているはずなんですよね。巡視も十五分から三十分おきに必ずする、という厳密なルールだってあります。


 伝聞のつねで、摩滅した細部は杳としませんし、なにか褪色したネガ・フィルムをみるような話です。


 デキの悪い都市伝説でももう少しロジカルでしょう。


 まあ、ともあれ、ミドリという鎖の輪はミッシング・リンクとして夢野母子(おやこ)の眼前より消失した訳でした。


 …しかし、そんな喪われた輪に拘泥している場合ではなかったのですね。夢野建の病状は悪化の一途をたどっていましたから。


 そろそろ冬の足音を聞きながら、夢野美穂は、息子、建を精神科外来に受診させていました。




 …ぼつぼつ書き、ぼつぼち続きますね。ダレトクなのか、という文章ではありますが。

 しかし書くことで内奥に燻っているナニガシカが浄化されるような心持ちがいたします。

 僕らアルコール依存症者の世界でいう、棚卸し、と近似した感覚なのでしょうか。いや、おおいに見当ハズレかもしれませんが。

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