鏡像迷宮 12
漸くペースが戻って参りました。蛇行運転というのに、読んで下さる皆様には本当に感謝です。
ヘラクレイトスは、万物は流転する、と言いました…、
たぶん僕は、観念について話しているんでしょう。
こうしてココにモザイクさながら、過去の記憶を嵌め込んでは。
言葉のゴブラン織りをしながら、とある観念について話しているんでしょう。
でもそれは、いかような観念なのか。自分でも確とは分かりかねるのです。ただ一つには、僕のこころの根底に、女性に対する畏怖、いやもしかしたら女性恐怖と換言可能なものが存在していそうですよね。川面に女性という怪物を見、幻視した裸婦はフリークスでした。
…おのれの母親くらいの女性に太陽のそれではなくて月のにおいの恋をしたり、のちには少女としか言い得ない対象に月蝕の光輝を感じたり、こういう月の様相は、女性恐怖の裏返しなんでしょう。
…それは一つ確かだけども、はたして全貌としては、なんの観念を語るのか。たとえば、こうして徘徊する僕。
…葉山尊(と名付けました)という人物、つまり僕は、暗い道に車を見、それに歩をすすめながら、
「万物は流転する」
と言うのでしたが、その意味は僕には分からないのでした。
彼、つまり僕は、笑えるモノを発見します。つめたく落影する、車のかたわらに。
埃まみれ、土まみれ。
葉山の目にうつったのは、てのひらサイズの人形でした。それは片足のもげた、子ども用の着せ替え人形です。ちっちゃな服も剥ぎとられて、まっぱだか。
そう、それは。
もう一度いいますが、足を失くしていた。足だけの怪異が現れるという、この場所でです。
神か悪魔のイタズラなのか。ナンセンスな冗句です。出来すぎているといえば、出来すぎている。
…続きます。