4話 偽り
ーーーーー自分の部屋に地下室を発見した。そこには、2代目国王シリウスの作った、魔法耐性のあるレンガに、黄魔法で防音対策をしてある秘密の部屋的な所だ。だが便利なことに、外からの声は魔法道具のお陰で聞こえてくる。そして、移動装置はベッドの下に繋がっている。つまり俺は安全に動けて、魔法を使え、古い本を自由に読める場所を手に入れた。
「某転生ラノベでは、魔力は10歳までに鍛えないと伸びないって話だからな。」
とんでもないことが明らかになった。
ーーー魔法はステータス上は、色で表されているがこの世界では勇者以外の詠唱は〔赤がファイア、青はアクア、緑はウィンド、黄はアース、白はサンダー、黒はダーク、空間魔法はエア、腐魔法は何故かアシッド〕だ。アシッドって酸じゃないか。溶けるかもしれないけど腐るは無いんじゃないか。そんなことを思った。何が問題なのか。そう俺は勇者として暮らすつもりは無い。だが俺の詠唱は色だ。今から矯正しないとつい色で唱えてしまいそうになる。色で唱えてしまえば、見知らぬ土地でも一気に勇者と知れ渡ってしまう可能性があるのだ。まぁ早めに気付いて良かったと言うべきだろう。
序でに、俺は魔法の概念を理解した。これも2代目国王の地下室に置いてあった本に研究書からだ。
「魔力とは 人が常に纏っているオーラである」
これを見た後、目を凝らし自分を見ることでようやく自分を覆っているオーラに気付くことができる。このオーラは気付かなくとも纏っていて、オーラは身体力になる。そのため魔力が高ければ高いほど能力も上がる。ステータスはオーラを込めた能力値が示されているらしい。オーラの纏う量は変えられるため、大きくすればするほど身体力は高くなるだから魔力の高い魔人種は強いのだ。
魔法とはこのオーラを手に集中させ、イメージから魔法の種類を決め、手に集めたオーラを抽出することを言うらしい。詠唱はこのプロセスをオーラに気付かなくもやってくれるらしい。これで俺も恥ずかしい詠唱から解放だ!と思いきや割と難しかった。まぁ1日でファイヤーボールを作り出すことに成功した。そしてオーラの抽出過程で抽出する形を変えられることに気付いた。だが形を大きくしたり、小さくすると割とハイペースで精神力を持ってかれた。又発射速度を速くするのにも遅くするのにも精神力を同じように削られた。大きくするのにはあまり使い道は無さそうだ。邪魔だし。
これらは発見ノートに記入しておいた。現在の発見は14までだ。ついでにわかったのが神から授けられた力の上がり具合は精々3~8程度らしい。だが防御力の高い森人種何かは、高級装備や魔法道具何かを着けたら、中々強いんじゃ...?
無詠唱が出来るようになってから、黄魔法で作った石剣等も振っていることもあって俺はドンドン強くなって行った。オーラを纏えるようになったことも大きい。1ヶ月後にステータス発表を控えた俺のステータスはこうなっている。
ステータス
Lv 1
体力 40/40
精神力 150/150
攻撃力 22+0<22>
防御力 33+0<33>
魔力 56+0<56>
脚力 45-0<45>
固有スキル 思考 Lv 1
スキル 鑑定 言語理解 赤魔法 青魔法 緑魔法 黄魔法
と、気持ちの悪い伸び率だ。でもオーラが纏える以外は特に伸びる要素は無いだろう。つまりここからの伸びはとても悪くなるだろう。相変わらず思考の能力がわからない。思考と言って考えて見ても詠唱は思い浮かばないので魔法ではないのだろう。スキルについてだが、風と岩をうみだすイメージをして魔法を使っていたら習得できた。治癒魔法も欲しいのだが資料と経験 どちらもないのでランチさんに聞くのが1番だろう。
ーーー1ヶ月が経った。
俺はランチさんに治癒魔法を子供らしく聞いたら掛けてくれたので、取得することができた。治癒魔法は応用が聞かないらしく、呪文名が一気に入ってきた。
ヒール ハイヒール エクストラヒール ... エリアヒール エリアハイヒール ... ポイズンブレイク ハイポイズンブレイク ...
「...」の所はまだ使えないのだろうか?鑑定をしてみても「...」としか出てこなかった。
いよいよステータス発表の日が来た。俺とユインは王座の間に呼び出された。
「今から、ステータスの儀を執り行う。先ずはユインから。心の中で〔ステータス〕と念じ、出てきた数字を言うがよい。」
「はい。ステータス
Lv 1
体力 33/33
精神力 25/25
攻撃力 20+0<20>
防御力 15+0<15>
魔力 12+0<12>
脚力 11-0<11>
固有スキル 光剣
スキル 鑑定 言語理解 白魔法 治癒魔法です。」
歓声が巻き起こる。所々で「何て高いんだ!まだ3歳なのに。さすが勇者だな」や「何と!固有スキルを持っているのか!」という興奮気味の声が聞こえてくる。
「流石勇者と言った所か。世界一には及ばんが、期待値が高いな。次にハントよ。ステータスと念じるがよい。」
俺の番だ。俺はステータスを偽ると決めている。今にも跳ねそうな貴族の方々に落胆させるのは心苦しいがな。
「はい。わかりました。ではステータス
Lv 1
体力 15/15
精神力 8/8
攻撃力 3+0<3>
防御力 5+0<5>
魔力 5+0<5>
脚力 5-0<5>
スキル 鑑定 言語理解 赤魔法です。」
一瞬にして歓声が静寂に変わり、その後ざわめきが起こった。「本当に勇者か?」 「普通だ...」等だ。これでいいんだ。戦争に巻き込まれるのは御免だ。 声が響く
「静まれぇぇい! 兎に角、これでステータス発表の儀を終わる。ユインとハントは下がれ。」
俺は部屋に戻ると最近仲良くなったランチと話をした。
「ねぇランチ。僕...弱いの?」
「いいえ。ハント様。ユイン姉様がお強いのでございますよ。」
「僕...迷惑かな?ここにいるの嫌だよ。父様と母様に会いたいよ。ランチ」
「ランチが国王様に相談してきましょう。ハント様が村へ行けるように。」
ランチは実は国王と知り合いだ。
「いいの??」
「勿論でございますよ。ハント様」
「ありがとう。ランチ!」
1ヶ月後、俺は特別にキリアへ行くことを許可された。
じゃあな。ユイン、ランチ、地下室の本達そしてシリウスさんよ...