くすぐり花火
「今日は寝てたい」と祭りの誘いを断り、ベットで目を開けたまま横になっていた。
ふと、祭りの誘いを断った罪悪感のせいか、みんなのことを考えてみる。
かき氷たこ焼き焼きそばりんご飴、どれかを片手にみんなでワイワイ祭りを楽しんでいるのだろう。
そこに僕がいたとする。みんなを笑わせようとして話をするが、大して面白い話などなくみんなを退屈にさせてしまった。みんなと話が合わない。やがて後ろの方で一人みんなの後をついて行くことになった。
申し訳なさと恥ずかしさで全身から汗をかいた。ここは蒸し風呂なのか?
暑さのせいかよろめいてしまい友達にぶつかる。友達の持っていた焼きそばが宙を舞い地面に落ちる。
僕は謝った。友達は許してくれた。
「代わりの焼きそばを買ってくるよ」と言ったがその場の空気がおかしい。
違うのだ。買ってくるどうこうの話ではなく僕がいなくなればいいのだ。始めから僕はいらなかったのだ。
僕は友達に500円を渡し無言でその場を立ち去った。少し歩いて振り返るとみんなは消えていて、落とした焼きそばも地面を這って人混みの中へ消えていった。
帰りにぽっぽ焼きを土産で買ったが、気が動転して草むらに投げた。
我に帰ると全身から汗をかいていた。危ない。やはり断っといて正解だった。
窓を開けると部屋に花火の音が入ってきた。びくびくしていると花火に脇をくすぐられた。