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ココロ奪われしセカイ  作者: 鹿煎餅
第一章 新たな出会い
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第一話 腐った世界

初投稿なんでぶっちゃけめっちゃ緊張しながらの投稿ですw。ちょっと説明文が多くなっちゃいました……。

 どこにでもあるような工場で働く青年と呼ぶにはまだ少し若く、だが、少年と呼ぶには少し大人びている人物がいた。

 彼はナンバー342112。

 これを訳すと「セカイ」だ。


 この数字は基本的にランダムで振り当てられる。

 そのため、セカイと同年代の人でも二桁の人もいれば更に六桁多い人もいる。

 だが、数字で呼ぶと長くなるので世界政府はある決まり事を作った。

 その当てられた数字を更に暗号みたくカタカナに直すことだ。

 例えば11ならば「ア」。25ならば「コ」のように。

 大昔で言うローマ字と言うモノと同じ様なものだ。

 何故日本語になったかは今ではもうどうでも良い事なのだが。


 それでも、今では日本語以外の言葉を耳にする事は決して無い訳ではないのだ。

 それは「感情」と呼ばれたモノがあった世界では様々な言語があったためにそれを解析する人がいるためだ。

 だが、その人たちも「感情」を持たないために昔の文明を理解できずにいる。


 ここはそのような腐った世界だ。

 人は普通、母から生まれるとただ人口食だけを貰い生きる。

 

 だが、お腹が空いても泣かない。

 いや、泣くと言う事を知らない。

 食事の時間は政府の研究で最良のタイミングが定められその時に与える。

 それだけだ。

 たったそれだけ。泣く事もない赤ん坊はただ体を成長させるためだけに食事を摂り、寝る。

 親は特にそれを見る事もなく仕事を行う。

 それがこの時代の普通の家庭の暮らし方である。


 だが、時折「感情」と呼ばれるモノを持って生まれる赤ん坊もいる。

 その赤ん坊の末路は「死」。ただそれだけ。


 これは育児放棄が理由ではない。

 何故ならこの世には育児放棄を行うと言う概念が無いから。

 赤ん坊が死ぬ理由。それは昔の文明で言う「神隠し」と呼ばれるものだ。

 「感情」を持って生まれた赤ん坊は退院後一週間以内に必ず消えてしまう。

 それが誰が行っているのかは知らない。いや、知ろうとはしないのだ。

 「知りたい」と言う「感情」が無いから。

 それ故に現在では「感情」を持った赤ん坊が消えた場合は『神隠し』という事で解決してしまう。

 そして、跡取りが消えてしまった家庭ではまた子どもを作る。

 子どもが欲しいといった「感情」からではない。

 それがこの世のルールだからだ。



 だが、彼は生きている。

 「感情」を持っているのにだ。

 セカイは物心ついた時から周りとは違う事に気が付いていた。

 周りの人達に表情は無い。僕みたいに笑う事もない。泣く事も、怒る事も、疑う事も、悩む事も全て無い。と


 セカイは今の世界に唯一の「感情」を持ったまま成長した個体なのだ。

 だが、別に興味を持たれるわけでも気味悪がられるわけでもない。

 どうして今まで狙われなかったのかと疑われることもない。

 皆はただ与えられた役目を全うするだけなのだから。


 今もその与えられた役割を行っている最中だった。


 セカイに与えられた役割は武器の整備、及び組み立てだ。

 この時代どこでこのような武器を使うのかと疑問にも思ったのだがここで働いている人は皆知らないらしい。

 「知りたい」と思うことが無いのだから当たり前なのかもしれないが。

 だが、このようなつまらない職場でも興味を持つものが出来る。

 それは今はどの銃を組み立てているかという事だ。


 ずっとこの様な事ばかりしかしていない為にこれが趣味になるのも仕方がないと言うべきか。

 だが、セカイにとっては時折配布される部品の中に珍しい銃があるのかを探す事が少ない楽しみの一つになっているのである。


 特に今回の部品は彼の中では特に珍しかった。

 昔、地球で大小様々な国があった頃の「イスラエル」と呼ばれていた国で開発されたプルパップ式アサルトライフルのIMI-CTAR-21。IMI社が開発したタボールタイプの中でもコンパクトタイプの物だ。

 

 なぜ、これが珍しいのかと言うと、今ではやはりAK-47が中心に開発されている為にこの様な一か国でしか取り扱っていなかったものは珍しいのである。


 セカイがそのCTARを組み立て終わると、見回りという役割を与えられた先輩がそれを行う為に僕の所へとやってくる。


「セカイ。今日のノルマは達成したのか」


「いいえ。あと少しで――」


「そうか。きちんと終わらすんだぞ」


 否定の意思を示すとそれだけが分かれば良いので言葉を被せて言ってくる。

 彼は他の人間のこういう所が苦手だと思っていた。

 せっかくレアなものが組み立てられたのに気分は最悪だった。

 だが、この様に思っているのは彼だけなので特に相談する相手もいない。

 だから毎日ノルマをこなせば帰りに食材を購入し、晩御飯を作り、風呂に入ってから寝る。

 ただそれだけだ。


 その様な生活にセカイは最初は慣れる事は出来なかったが、今では自分自身で「感情」を殺し生活が出来るようにはなった。

 今の自分は本当にこれで良いのだろうかと何度も思う事がある。

 皆はこんな生活で本当に満足しているのだろうか? 本当は僕みたいに「感情」を持ったままに成長した人もいるのではないか?と。

 しかし、そんな事は考えるだけ無駄だと思っている為にまた考える事を止める。


「……本当の僕って何なんだろう」


 セカイはそこで眠りに落ちた。

更新のペースとしては早くて一日一本。遅くても一週間で一本というペースにはしていきたいです(仕事の都合上忙しかったりするので……)。

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