『 やしゃ君の自立!』
やしゃ君、立ちます!
天文6年(1537年11歳)
今年も新年のご挨拶に、献金20貫と折々に必要な物、米、塩、お酒、塩乾物、果物を献上した。
ほぼ、ルーティーンワークである。
何事もコツコツとした積み重ねが実を結ぶ、継続が大切だ。
かねてから製造していた清酒も上手く開発出来、製造も順調なあんばいだ。
さすが酒飲みの執念恐るべし。
木之本での酒蔵が軌道に乗り、酒屋も完成したので、お祝いという事で皆にふるまおう。
どんちゃん騒ぎだ~っ。
俺までが、ついつい飲んでしまった。
気がつくと……布団の中に誰かいる。
やってしまった、ハハハ。
爺の娘、深雪と懇ろになる。
早熟でスマン!
イヤ別に俺が悪いわけやないぞ!
若様生活が悪いんだい。
考えても見ろ、若様が自分で着替えるか?否!断じて否である。
考えても見ろ、自分が男に着替えさせられて嬉しいか?これも否!断じて否である。
早い話、お着替えは、乳母・母上・深雪任せじゃ!
ワシの『鋼の精神』も肉体の成長に伴う、生理的反応をどうすることも出来なんだ。
つまり・・・
ばあやのお手伝いは、なんとか耐えられた。
しかし、母上がお着替えさせてくださった時、ワシのナニがピクンと反応してしまったのじゃ!
なんとかその場をごまかそうとしたのじやが…おどろくなかれ、すぐさまご指南が始まったのじゃ!
武家の跡取りたる者、『槍働きで後れをとっては、浅井家の恥です!』と、わけの判らんまま、実技指導とあいなったのじゃ!
いわゆる 『 筆お・ろ・し 』 という奴じゃ。
あとの詳しい話は省くが、とりあえず、そういう事だ。
ある意味スゴク有り難い話しだ。
教育はたいせつだ。
しかし、現代人の感覚を持つ自分には中々慣れんもんだった。
とは言え、体は正直じゃ。
相手を御指名制にしていただいた、さすがに百戦錬磨のおばちゃんはイヤだ!
さすれば、あら不思議!
名前が『猿夜叉』だけにサルのようだったと言えば、納得するか?
技術習得のみならず。
そのまま、深雪を孕ませてしまった……。
ははh一部史実通りですから……。
そろそろ本格的に商売を始めよう。
現実を見つめるのだ。(絶賛、現実逃避中)
バイブルである「長政?はつらいよっ!」を参考にさせていただく。
俺にはこれに頼るしか、手がないのだ。
荻野式の詳しい記述がなかったのが悔やまれる。
「避妊チート!?なにそれ、笑える~」と、腹を抱えて笑った自分に腹が立つ。
しっかりと、調べておくべきだったのだ。
後悔先に立たずだ。
気を取り直そう。
今後の戦乱を考えて、浅井家が一番懇意にしている朝倉の敦賀郡司家のお膝元、『敦賀』に店を構える。
鶴賀港に集積される物産を買い付け、近江に送る輸送業をうち(浅井家)が行なうのだ。
俺に力があれば、是非とも奪いたいのだが、如何せんここは、『宗滴ジジイ』のシマ(縄張り)である。
塩、鉄、青芋(越後)、干し魚、塩漬け魚(塩鯖)等の塩乾物。
これら生活に欠かせない必需品を塩津へ運び、琵琶湖水運を使い京まで届け売りさばく構想だ。
とりあえずは、敦賀-塩津(-小谷)間を、馬(手空きの家臣と従僕)を使い輸送した。
帰り便は、干椎茸、お茶、清酒である。
行き帰りの物資を用意できてこその商売だ。空便など以ての外だ。
塩津の港で、堅田衆や水運業の者に商品を売って湖賊とつなぎをとる、これだ。
転売業は配下の者(戦闘員)を使えば、安全に確実に運べたので良い仕事だった。
戦続きでこの交易路は一時期寂れた為、競合相手が少ないし、既存の馬借は俺が取り込めば手間が省ける。
塩津の町には倉庫を置くことにした。
船荷の取引がメインだ、いわゆる流通サービスの基地である。
もちろん、倉庫業も考えている。
― 実は、『ひさまさ氏』は、さびしんぼうで感想のお便りが大好きらしい。
感想で意見を述べると、いろいろボツネタを教えてくれるのだ!
正直、執筆量より感想の方が文字数が多いのではと心配したのだけれど…。
あの短い文章は、ひたすら無駄を削ぎ落とすことに、心血を注いでいるらしい。
端折りすぎだと思うのだが……。
先日も、お便りのお返事中に、脳裏にヨシモト公が舞い降りてきて。
お話しネタを提供してくださったらしい。
まあそのおかげで、桶狭間の内容が一部変わり、今後の展開が大幅にボツになったと笑っておったが……どういう神経をしているのかなぁ? ―
まあ、いい。
ここで、教えてもらったボツネタが、活きることもあろうからな。
敦賀-塩津の交易が寂れたのは、京極氏の衰退とその後の戦乱が原因だ。
商人は利益に聡く、危険にも鼻が利く、絶対に損はしたくない生き物なのだ。
そして別のルートが開拓されてしまった……。
このように、一旦信用を失うと回復に時間が掛かる。
交易ルートを奪われることは、収入が激減するという事だ。
税収ももちろんそうであるが、市場への影響力だ。
売りたいものも買いたたかれるし、とにかく商人に足元を見られるのだ。
これは、領主に取ってとても痛い事だ。
親父の伝を使い、朝倉の敦賀郡司家と協力して信用回復に勤める。
そして、様子を見て水軍衆との折衝を行なうつもりだ。
なかなか一筋縄では行かないが利害は一致すると思う。(バイブル参照)
地道に商売を続け、信用を積み重ね、信頼を勝ち取るべく努力だ。
「こんにちは~小谷屋で~すっ」
「あ~小谷屋さんだ、お姉ちゃん小谷屋さんよ~」
「あら、小谷屋さん!ちょうどよかったわ、○○××」
「ワ~イ、おだにやさんですよ、ミケ」
「おっ、やしゃ君か!そうだ、『さざ波』を頼まな……」
「お父さん!!お酒ならまだありますよ。」
「かあさん…Orz…」
「「「ふふふふっ」」」
「明るい話題でお馴染みの小谷屋で~す」
セールストークもばっちりだ。
次号も見てくださいね。
じゃんけん……
ぱああ
独自展開、はじまります。