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猿夜叉、内政チートをはじめる。

猿夜叉がチートをはじめます。

バイブルの模倣が主体ですが、Kamiからチートを貰っていませんので…



 まあ、浅井家をどうしても継ぎたい訳ではないし、『海津』ならば逆に好都合だ。

 よしよし。


 俺も転生者だ、内政の切り札は考えてある。

しかしハッキリ言うと、子供の俺が出来ることはない。


 さすがに、当主である祖父の亮政(父)や父の明政(義兄)を差し置いて、内政は無理である。

あまり勝手なことをして、疎まれても困る。

それでなくてもお家騒動の火種があるのだ。

「はあ~っ」思わず溜息が出るね。

 個人の趣味程度にコツコツと、内職するしかないだろう。

爺達に手伝って貰うぐらいが関の山かな、あとは簡単な指示をおこなって、まるっと丸投げするしかない。


 前世で得たバイブル情報を使うだけなので、楽と言えば楽なのだが。

相手が知らないことを現物も無しに言葉だけで説明せねばならない。

伝言・連想ゲームみたいで、成果どころか現状の確認すら難しいのは仕方がないか。



 しかも、他の大名家にバレ、マネをされるとヤバイので、情報の秘匿が大切。

ここ大事なのである。

爺に聞き取り確認したところによると、やはり六角は甲賀(+伊賀)の主君であるという超チートなお家である。

(『信秀の坊や』でそこまでチートだった覚えはないのだが……。)

いわゆる忍者の元締めだ、情報戦に関しては、ぶっちゃけ、トンデモ無くハードルが高い。

 浅井家は地理的には比較的甲賀・伊賀に近いというのに忍者を召し抱えるどころか、依頼すら満足に出来ないという(友好度0、献金不可!)あり得ない立場である、無理ゲーなのである。

現状、諜報用に、はぐれ忍者を数名使っているだけらしい。

う~む。『長政?~』情報は本当に正確だな、為になる。


 内政だけでも容易ではないことは確かだ、チート無しではツライよ。


 先ず一番簡単で確実だと云う、椎茸栽培からはじめようと思って頑張ってはいる。(定番ですね。)

マジで想像出来ないことだが、椎茸は栽培法が確立されるまでは、松茸さま以上の超高級品だったらしい。

しかも、寺社で重用されていて、とてもおいしい話だ。

阿漕な坊主連中が金に糸目をつけず買うらしい。

どうせ信者から巻き上げた浄財だし、俺が巻き上げよう。


という訳で、俺のささやかなチートが始まった。


 極秘に栽培する必要があるので……。

今は俺自身が屋敷の裏庭で実験をしている所だ。

何しろここは小谷城、ハッキリ言って田舎の山の中に屋敷がある訳だ。

椎茸栽培はまさに天職と云えよう。


 栽培法は、一応ひと通り知ってはいるが、いろいろ手探りをしている様に装う。

いきなり成功しても怪しまれるからな。


「若、何をやっておいでです?」赤尾清綱が食いついてきた。


(しめしめ。)「椎茸を見つけたので増やそうかなと思っているんだ。」


「椎茸ですか?折角なのに食べないのですか?」怪訝そうに問う。


「うん、お米のように増やせたらスゴク無いかい?」


「確かに凄いでしょうが……、若君がやることではございませんね」


(かかった) 「わかった、じゃあ清綱に任せるよ、誰かにやらせておいて」


「え、私がですか?」


「そうだよ、僕に言うことをきかせるのなら、僕の言うこともきいてくれないとね」


「はあ」


(コイツ、いまいち理解していないな)

「手を抜いたら怒るからね、キチンと監督してあげるから心配ないや、サボったらお母さまに言いつけよ~っと」


「とほほ」


労働力ゲットだぜ!その他の近習を巻き込んで、栽培が進んだ。


「母上~赤尾が遊んでくれたよ~。」

「良かったわね、夜叉丸。」ちゃんとお礼言ったの?

「まだ言ってないや。」てヘッ。

「だめね、母上が一緒にお礼を言ってあげましょうね!」

「うん、ありがとう母上」

「じゃあ、いきましようか」

「は~い」

手をつないで歩く2人は親子そのものであった。

本当は、年の離れた姉弟であるのだが…


 少しづつ実績をあげねば『子供の俺』の指示など、誰もまともに聞かないだろう。

そのための「椎茸栽培」だ。

お手軽なのに、成功すれば効果は絶大なのだ。

当初の予定通りに、母上と爺と側近にだけ、実験の成果を教える。


 本来ならば親父に献策すれば良いのだろうがな。

俺的には母上の方がいいだろう。

親父ってわりと忙しいらしく、偶にしか会ったことないし、あまり信用が出来ないなあ~。

儲けたお金を俺に寄越さないで、皆と雄琴で夜ごと豪遊されてもこまるしな。

 お祖父様(亮政)に至っては、気のいい人だから、ホイホイ人に教えてしまいそうだ。

俺がせっかく苦労して栽培法を確立し忍者に隠しても、事の重要性を気づくまい。

 爺ですら、しっかり言い含めないと、うっかりブツ(干し椎茸)を観音寺や石寺、井ノ口あたりに売りかねない。

六角や朝倉にバレるとヤバイのだ。売り上げを巻き上げられて取られそうだ。

たかが椎茸なのだが、細心の注意を払い、超極秘に進めている。


何とか基礎実験は成功した。これで、量産化のメドが立てられる。


 小谷の裏手の山で、他家にバレないよう慎重に量産栽培実験を進めているところだ。

現金なもので、儲かると判れば皆が言うことをきくんだよな。

試作で採れた物を乾燥させて吸い物にしたが会心の出来だった。

成功だ。\(^O^)/

まあ、普通に椎茸の風味がするだけで、やはり、俺にもありがたみが薄いのが難点だが……。

成功したのに…何故か素直に納得出来ないで、落ち込む俺。

気を取り直し、頑張ろう。


 まずは試しに干し椎茸を、比叡山、園城寺に売らせた。


「いや~ぁ、若君!めっちゃ売れました。」

「もっと欲しいとのことです。」

「やりましたね」


「そうだろう、そうだろう」

「いや~ぁ、結構儲かりましたわ。」

「猿夜叉さま、ウハウハですな~。あれはまさに、銭のなる木でっせ」

「いや、皆が協力してくれたおかげである。褒美を取らす、今後ともがんばってくれ!」」

「「「ははっ、若に付いていきます。」」」



 上手くいった。思った通り反応は上々の様である。

大量に栽培する手はずを整えさせよう。あとは、爺に丸投げだ。

ゆくゆくは干し椎茸を京、津島、堺あたりに売りつけたい。

国友の鉄砲と抱き合わせで売れば軽いし、厳重に輸送するのにも好都合である。

なんと言っても一番厄介な腐れの坊主の鼻薬に使えるのがありがたい。

自分の将来の事もいろいろと不安だし、とりあえず売り上げは、俺のお小遣い(軍資金)にする。


ムフフフ・・・

 俺が考える、もう一つのチートは種子島である。

てっぽう自体は1543年に種子島に伝わるはずだから、今は、まだ誰もその存在を知らないハズだ。

あと10年の猶予がある、このタイムラグは俺にとってとても有効だ。

そう、国友!!浅井が唯一誇れる、教科書に載るスゴイ村だ。

俺にはコイツが有ったのだ。

本来、あの有名な『国友村』は、あの堺バリに完全独立の手強い村である。

だいたい、石田三成の佐和山支配下でも徳川に鉄砲を売った剛の者だ。恐ろしい。 


 今はまだ鉄砲が伝来しておらず、ただの鍛冶屋の集団にすぎない。

まだそこまで大きな勢力を持たないだろうから、早い内に何とか手なずけたい。

とはいえ、俺自身がまだ子供である。

あまり自分勝手なことはできないのだ、本当に悔しいがこの件は元服してから取り組もう。


 将来の火薬の生産を見据え難しいかも知れないが硝石丘、培養枡を作っておきたい。

糞尿を使うあまりにも怪しい実験の依頼なので、爺達には肥料の研究だとごまかそう。

製法は一応、紳士の嗜みとして覚えている。火薬(硝石)の独自生産が今後の鍵だと思う。


国友村を擁する浅井家としては最重要課題と位置づけられる。

浅井5カ年計画だ。

 一応古土法で試して見ないといけないが、実験は俺が立ち会わないと無理だろうし、これはもう少ししてからの話だ。

まだ臭い匂いに対して、心の準備ができていないなんて軟弱な理由じゃ無いぞ。

そんなのは人任せで良い。

研究の時間はあるので、事前準備だけはしておこう。

第一、自分で撃ちたいじゃんか。

それに、鉄砲が無くても火薬は有効だと思う。


いろいろと期待に胸を膨らませながら、まずは少しづつ課題をこなしていく。



天文3年(1534年、俺8歳)


祖父は、京極氏と和解した。

京極家の執権ともいうべき地位に就き、北近江統治の主導権を掌握した。

取り敢えずは、一段落と言った所かな。


 いろいろ考えたが、やはりあまり変な介入をすると、長政誕生までにお家が滅亡する可能性がありそうだ。

順当に行けば、それなりに生き残つているハズだ。

戦や政治には、極力口を出さないでおこうと決めた。

内政もどうせ六角に蹂躙されるので、大々的な事はせずにむしろ基礎研究を優先させようと思っている。

本当に戦争とは迷惑なものだ。

まだ、京極や六角、朝倉の兵は守護大名として割と体裁ぶるので、かわいいほうだ。

すべて現地調達の無法者集団(戦国大名)が来たらボロボロだ。

自分の故郷の江北だけでも平和に暮らせるようにしたいものだ。お家騒動などまつぴらご免である。


 両親(姉、義兄上)には、こびを売っておくとしょう。何なら浅井は、そっくりそのままお任せだ。

父(義兄)が跡取りでも問題ない。大名として戦い、そして、頑張って(死んで)もらおう。

あざといが、無邪気に姉に甘えた。


子供なんだから、子供らしく楽しく生きよう。

「あっバツタだ~!えいっ、やったぁ」

上手く捕れたぞ。

「ははうえ~、バッタが捕れました」

「猿夜叉すごいわね~」

「えへへへっ」

俺は、母上にやさしく頭を撫でてもらいご満悦である。

「虫こわい~」

妹が虫を怖がっている。大丈夫怖くないこわくない。


妹(亮政の子?義叔母?俺の養女?ええい、ややこしい)の近江の君(5歳)(後の斉藤義龍夫人、竜興生母?)も可愛いので許す。


 幼女と戯れるのもよいが、そればかりしていた訳ではないぞ。


 

とりあえずは訓練だ。生き残るには己を磨くしかない。

浅井家を継ぐのは考えないようにしよう。


 めった打ちにされ、身体で覚えていく。

(おいおいまだ子供だぞ)

 師匠の渡辺某、曰く、「ひたすら練習を積みかさね、後は実戦あるのみ」らしい。

そりゃどうも。

(直虎が居ないぞ~詐欺だ~。)

訓練が終わる頃には、小姓組は皆が疲れ果てくたくただ。

いまは戦国、ボロボロですむならありがたいと、涙を呑んで思うことにする。

訓練さえ終われば、母上が優しくして下さる。

母はとてもやさしいんだ。

「わ~い。母上!鍛錬おわったよ~っ」

ホント疲れと痛みも、母上の優しい労りがあれば、それはもう褒美だ、まさに飴と鞭である。(直虎が居ればもっといいのに)

 直経はまだ3歳ぐらいなのでここには居ないが、重臣達の子息が一緒に訓練するのが本当に心強く思う。

勉学や稽古にも気合いが入るというものだ。

武芸の稽古はとても激しいが、みなが仲良く和気藹々である。

楽しい日々が続く。

仲間は楽しいよ。



 

さてお立ち会い、「食のお話しだ」

身体を造る為には、何よりも栄養が必須だと、俺も思う。

小谷での生活では、食事に困るようなみじめな境遇で無いのが、正直ありがたい。

若様特権を行使しよう。

というわけで、侍女に言いつけ、湖魚や鴨肉、卵、鹿肉、熊肉、果物、鮒寿司に生レバー、蘇チーズ、ジャーキーなどを要求した。

前世の感覚からか、俺は子供のくせに酒飲みグルメなのだ。

俺は幼児・少年期に摂取するの栄養が成長後の体格を決めると思っている。

この時代は慢性的に栄養不足だし、身長も150cmが標準とも言われている。

息子の長政は181cmあったというが、俺が大きくなれるかどうかは疑わしい。

ー番の問題は、切実だ!

『久政が美丈夫』だということが、まるでイメージ出来無い事に尽きる。

貧相な、ショボイおじいさんのイメージが強烈にあるのだ。

そんなのは、自分としてはイヤである。


 それに、武将は身体が資本だ、鍛えて当然である。。

リーチが長ければ、それだけで戦闘は大変に有利である。

俺は戦国武将として、あの『前田慶次』のようになりたいと思っている。

マンガ・ゲームの無双はともかくとしても、貧相な身体(久政のイメージ)はイヤだ。

 そのためにも、俺は牛乳を飲み、下男達に鹿や、イノシシの干し肉を作らせ常食している。

現代思考のおれが肉類を自重するわけがない。

もっと現代知識を生かして旨いものをつくろうかな?

 とりあえず、お肉だ、近江牛だ。味噌漬けでいいや。

おいしいお菓子も再現したい、身体は子供なので甘味に目がないのだ。

蜂蜜、麦芽糖を作るぞ~。近江も深雪も喜んでくれるだろう。

「お~い、誰か~」


こうして一連の食文化が、北近江に根付いたのだった。


そうこうしている間に、年がかわり

天文4年(1535年9歳)


2月

海津の戦いで亮政は敗戦した。さすが父上達、まるで勝てないな~。


浅井は今日も負けています。

やれやれだぜ。


子供最強チート。


「お母ちゃんに、言いつけてやる!!」が、炸裂しました。

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