転生「久政」を襲う、不都合な真実
ややこしい背景の説明です。
今後の展開にはあまり関係がないですが、一応知っておきましょうね。
浅井家の置かれている状況は、ひと言で言えば非常に厳しい。
六角と京極の2つともが敵だ。
また基本は味方の国人衆も、どちらかと言えば勢いのある勢力の方へ付く輩だ。
完全に二股膏薬だ。
だいたい浅井ですら、京極、→京極(上坂氏)、→京極(浅見氏)、→独立、→朝倉、→六角。(この後→京極)
とまあ、目まぐるしい事この上ない。
もはや、信用度ゼロだな。
ついでに、本願寺や斉藤にも、ごますりまくり状態だ。
よく考えてみれば、父(明政)も、爺さん(実父.亮政)も大変だ、でも何とか国人領主のリーダーとしてまとめていたんだな。
ハッキリ言って、こんなに大変とは思わなかった。
『久政、ダメじゃ~ん!』と、軽く思っていたが、こりゃ無理ゲーだ。
『ひさまさ氏が、何故あんなにしつこく、なにげに「久政」を褒めていたのか』判った気がする。
「朝倉攻めさえ選択を間違えなければOK」と、気楽に考えていたけれど、トンデモ無い話だ。
浅井家が早急に勢力を得ることは無理な話だが、地道に力を蓄えねばならない。
とはいえ、俺はまだ7歳。
いまは読み書きを覚えているところだ。
覚悟はしていたが…草書、崩し字が読めないし、『候言葉』に至っては、「何が言いたいのか?」
まったく意味不明だ。
候、候、御座候。(そうろう?そうろう?君ッそうろう?)しつこい、何か不愉快だ、候ちゃうわい。
はぁ~っ、早く慣れるようにしよう。
勝太郎、深雪と遊びながらもお勉強している。
意外と近習の海北、赤尾は教えるのが上手かった。
そうだ、かの『海北友松』も欲しいではないか。さっそくおねだりせねば。
一応、俺の家臣を紹介しておこう。ちなみに俺は1526生まれ
傅役:雨森彦左衛門(雨森一族)
近習:海北綱親16年上、赤尾清綱14年上、雨森弥兵衛清貞、井口経親
小姓:磯野勝太郎(員昌?) 3つ上、阿閉貞吉(貞征?)2つ下
乳母:お梅(彦左衛門夫人)他数人
深雪:(彦左衛門長女、同い年)
下男、鴨介、喜八郎、熊五郎
下女、おせん、加羅、うめ、たけ
俺の、初期家臣団が出来上がった。
海赤雨の3家が揃っているのがありがたい。
磯野、阿閉、は俺が無理に小姓として引き入れた。たぶん逸材のはずだ。
勝太郎、貞吉は、小姓にした際に俺が命名した。
遠藤喜助(喜右衛門尉直経?5つ下まだ子供だった。)
海北友松もさらに幼いそうだ。
直経・友松はまだ子供であるので、これから引きずり込む予定である。
~調査報告~
恐ろしい話を聞いた。
下人どもの噂話を聞いてしまった。
俺が一応、跡取り次男(長男死亡の為)なのに亮政に望まれないのは、側室の子だったのだ。
父が養子として、浅井本家に入った関係上、妻の蔵屋の子が優先される。
円満な一族の統治の為に本家筋の血筋が欲しかったらしい。
その為、長男が早くに死んだ後、本家の血筋を引く姉(鶴千代)と浅井庶家の田屋明政を娶せた。
浅井庶流の田屋家(高島の土豪)の明政が、姉に婿入りし浅井を名乗ったのだ。
俺は庶長子の為、浅井本家当主としては少しばかり問題があったのだ。
まあ、亮政が養子なので余所で作ってきた子供に家を継がせるのは不味い。
すでに娘には養子を取っているのだ。
極秘に調べたのだが、本当の俺の母親はどうやら六角の出らしい?確証は得られなんだが。(養女かも)
六角に攻められ朝倉が講和させた際に娶されたらしい。(噂だが)
あ~イライラする。味方がいないではないか?
姉の鶴千代がいろいろと厄介だ。(娘が海津3姉妹だ。おばちゃん浅井三姉妹なのだ。)
亮政の嫡子・新四郎政弘が子供を儲ける前に死んだ関係で、婿養子(浅井新三郎)をとった。
なのに、後から俺が生まれたとい う事で、はい『ご破算』では、たぶん面白くはないだろう?
(高島の田屋明政が、斉藤と結ぶと厄介だ。)
ハッキリ言って人の心の中は読めないし、前世知識もかなり異説、脚色があり真実は不明だ。
田屋と争ったのかそうでないのかすら不明だ。
だいたい何で俺が、明政、鶴千代の子供(養子)なんだよ~。
もう余計な事を考えないようにしよう。
誰が跡取りになるのかは、流れに任せようと思う事にした。
とりあえず、姉を味方に付けるべく、無邪気を装い甘えた。
実際、姉というかほとんど母親だしな。
つらつらよく考えてみれば、姉は俺の母代わりを十全に勤めていてくれる。
これは本当だ、話を聞くまでは、若い母だとばかり思っていた。
何だか判らんが、ありがたいことだと思おう。
現状では俺は、海津(田屋)の家を継ぐ予定らしい。
明政と鶴千代に実子が生まれれば、その子が浅井本家を継ぐ予定だそうだ。
『な~んだそういうことか?』
まあ、浅井家をどうしても継ぎたい訳ではないし、『海津』ならば逆に好都合だ。
よしよし。
『長政?はつらいよっ!』にすら書かれていなかった衝撃の事実が久政を襲います。
久政は、『いらない子』なのでした。
これをきっかけに、さらに吹っ切れます。