肝試しに行こう
A子 「ねぇねぇ。肝試しに行こう!」
B男 「遊び半分でそういうところ行っちゃいけないんだぞ」
A子 「じゃあ、ふざけ半分で行こう!」
B男 「一緒! なんならなおタチ悪い!」
A子 「この近くに有名な心霊スポットがあるんだよ」
B男 「どんなところだ?」
A子 「見た人がたくさんいて、そこに入ると絶対怖い体験をするの」
B男 「そんなに凄いのか?」
A子 「もう、めっちゃ怖い。ただ、入るのに入場料かかるけど」
B男 「お化け屋敷じゃん!?」
A子 「絶対見るんだよ!?」
B男 「作り物だ、あれは!」
A子 「『キャー! 非常口ー!』」
B男 「何に怖がってんだ!?」
A子 「『キャー! 受付のおばちゃんー!』」
B男 「怒られるぞ!」
A子 「みたいなところなんだけど?」
B男 「とりあえず心霊スポットじゃねぇよ、そこは!」
A子 「じゃあ、この先のトンネルに行こう」
B男 「トンネルは怖い話よく聞くよな」
A子 「そのトンネルはね……入り口から入ってひたすらまっすぐ進むと……出口に出るんだって」
B男 「どのトンネルも全部そうだよ! むしろ、出ない方が怖いよ!」
A子 「あ、ちょいちょいずぶ濡れの女の幽霊が出るんだって」
B男 「それをさっきのトーンで言えよ! 肝心な方をサラッと言いやがって!」
A子 「なんでも、そのトンネルで溺れてしまった人らしいよ」
B男 「トンネルでどうやって溺れるんだよ!? 水ないだろう!?」
A子 「ここもダメか。じゃあ、廃屋は?」
B男 「廃屋なんかいかにも出そうでメチャクチャ怖いじゃねぇか」
A子 「その建物は、明治時代に建てられたって言われてるんだけど」
B男 「結構古い建物なんだな」
A子 「昔、ネコ喫茶として使われていたらしいの」
B男 「明治からあったの!?」
A子 「しかも、ドリンク飲み放題」
B男 「良心的なサービスだね!?」
A子 「廃屋となった今でも、声が聞こえるらしいよ」
B男 「誰もいない廃屋から声が聞こえるのか……」
A子 「『おかえりなさいませ、ご主人様~』」
B男 「メイド喫茶の要素も取り込んでたんだね!?」
A子 「そして、歩き回る無数のネコの足音が……聞こえない」
B男 「ネコって足音しないもんね!?」
A子 「必死に動き続けたのに相手にされなかったネコじゃらしの怨念が……」
B男 「それ、こっち悪くないだろう!? ある程度大きくなるとネコは遊ばなくなるんだよ!」
A子 「前にここに来た時に、心霊写真でも撮れないかと思ってカメラを構えたんだけど、写真撮れなかったんだよね」
B男 「心霊スポットって、そういうことあるらしいな」
A子 「いや、撮影は別料金だって言われて」
B男 「ネコ喫茶だから!? 店員の幽霊でも出てきたのか!?」
A子 「『余所では撮影出来るよ』って言っても聞く耳持たない」
B男 「まぁその店その店のルールがあるからなぁ!」
A子 「あんまりムカついたから思いっきり遊んでやろうと思ったんだけど、ネコじゃらしにネコがじゃれない!」
B男 「だから、大人になるとね、遊ばなくなるんだってば!」
A子 「じゃあ、こいつは何じゃらしだ!?」
B男 「ネコじゃらしだよ! たとえじゃれられなくなってもね!」
A子 「無念のままなくなったネコじゃらしの怨念が……」
B男 「いいよもう、ネコじゃらしの怨念!」
A子 「ちなみに、映像は無理だったけど、ICレコーダーで音声だけ録音出来たんだ」
B男 「心霊スポットで不気味な声が録れたってこと結構あるみたいだよな。何か録れたのか?」
A子 「それではお聞きいただこう。明治時代のメイド兼ネコ喫茶跡地で録れた幽霊の声を……」
B男 「そういう番組風なのいいから、早く聞かせてくれ!」
A子 「『すいません、録音も別料金になるんですけど』」
B男 「結構多いね、別料金!?」
A子 「幽霊の声!」
B男 「確かにそうなのかもしれないけども! 全然怖くないんだよな、なぜか!?」
A子 「じゃあ、とっておきの場所に行くか」
B男 「今度はどんなとこだよ?」
A子 「『もうシャレにならない』とテレビ・ネットで話題沸騰!」
B男 「それは怖そうだな。行ってみるか」
A子 「ただ、入場料かかるけどね」
B男 「だからそれ心霊スポットじゃないから! もういいよ」




