格ゲー
A子 「ねぇねぇ。子供の頃ゲームとかした?」
B男 「したなぁ。俺らの時代は格ゲーがブームでな」
A子 「『角刈りゲーム』?」
B男 「どんなゲームだ!?」
A子 「敵を角刈りにするゲームだよ!」
B男 「物凄く地味だな!?」
A子 「そんなことないよ。壮大なストーリーがあるんだから」
B男 「角刈りに壮大なストーリーはないだろう!?」
A子 「散髪屋さんの婚約者がマフィアに誘拐されちゃったの」
B男 「なんでそんな人を誘拐しちゃったんだろうな、マフィアが!?」
A子 「メッチャ好みだった」
B男 「動機、弱っ!?」
A子 「で、その婚約者を助けるために、主人公はバリカン一つを握りしめて戦いへ赴くの」
B男 「もうちょっとあったろう、武器!?」
A子 「向かってくる敵をバッタバッタと刈り込んで」
B男 「刈り込むのか!? なぎ倒すんじゃなくて!」
A子 「マフィアたちがみんな角刈りに!」
B男 「それはそれでなんか怖いんだけど!?」
A子 「角刈り、角刈り、坊ちゃん刈り」
B男 「なんか一人まろやかな感じの人がいたけど!?」
A子 「いや、そっちの方が似合うかと思って」
B男 「そんなとこで散髪屋魂見せなくていいから!」
A子 「角刈りにされたマフィアたちは改心してボランティアに精を出し」
B男 「凄い威力だな、角刈り!?」
A子 「街に角刈りのオッサンたちが溢れる」
B男 「大変! 物凄い怖いよ、その街!?」
A子 「そしてついに、主人公はマフィアのボスを見つけ出す」
B男 「いよいよクライマックスだな」
A子 「角刈りと角刈りの視線がぶつかる」
B男 「マフィアのボス、すでに角刈りなの!?」
A子 「あ、いや。ヒロインがね」
B男 「ヒロイン角刈りなのか!?」
A子 「街を歩けば誰もが振り向く角刈り美人」
B男 「振り向いてんのは、そういう意味合いじゃないと思うんだけど!?」
A子 「『今助けるからな、角刈りーた』」
B男 「なに、『角刈りーた』って!? ヒロインの名前!?」
A子 「『信じているわ、角刈りっち』」
B男 「そっちはふざけたあだ名みたいな名前だな!?」
A子 「『角刈りーたを返せ、角ガリ男!』」」
B男 「『角ガリ男』!? マフィアのボスガリ男なの!? で、やっぱり角刈りなんだね!?」
A子 「いや、ガリ男はスキンヘッド」
B男 「名前負けもいいとこだな!?」
A子 「角刈りっち、まさかの大ピンチ!」
B男 「髪の毛がなきゃ、角刈りに出来ないもんな!」
A子 「角刈りに出来ないと、マフィアを改心させることが出来ない!」
B男 「角刈りにすれば改心するって設定がいまだに納得出来てないんだけどな!?」
A子 「ここでヒロインの助言が」
B男 「ヒロインの言葉でボスの弱点を知るのか。ゲームにはありがちな展開だな」
A子 「『髪の毛がないなら、頭を刈っちゃえば?』」
B男 「酷ぇな、ヒロイン!? なに怖いことをサラッと言ってんだ!?」
A子 「『その手があったか!』」
B男 「ないよ! その手はないかなぁ!?」
A子 「ヒロインの言葉を信じて、頭皮にバリカンを突き立てる主人公!」
B男 「痛い痛い痛い!」
A子 「すると、頭皮が外れて、中からサラッサラのロングヘアーが!」
B男 「なんで!? え、ハゲヅラ被ってたの!?」
A子 「『マフィアのボスが、こんなサラサラヘアなんて、おかしいだろ?』」
B男 「いや、おかしかないとは思うけど。そんな些細なことを気にしてたのか、マフィアのボス」
A子 「凄く綺麗なサラサラのロングヘアーを、容赦なく角刈りへ」
B男 「容赦ないね、本当に!?」
A子 「こうしてマフィアたちは全員角刈りになって、町中角刈りだらけになりました。めでたしめでたし」
B男 「めでたいのかな、それ!?」
A子 「みたいなゲーム、流行ったよね?」
B男 「流行ってねぇわ! もういいよ」




