謎は全て解けた
A子 「ねぇねぇ。謎をすべて解きたい!」
B男 「ミステリーの探偵みたいなことか?」
A子 「犯人をこの中から見つけたい!」
B男 「だいたい犯人はこの中にいるんだよな」
A子 「仮にいなくても、この中の誰かを犯人に仕立て上げたい!」
B男 「濡れ衣じゃん!?」
A子 「誤認逮捕なんてよくあることだよ」
B男 「よくあっちゃダメなんだよ!」
A子 「後々自白を得られればなんとかなるって」
B男 「それ強要してるよね!? そういうのはダメだから!」
A子 「ほんの数百年前なら魔女狩りとか普通だったのに」
B男 「最近はそういうのダメだから! ちゃんとした証拠とかないと逮捕出来ないから!」
A子 「じゃあ私が探偵やって、完璧な証拠とアリバイを見つけてあげよう!」
B男 「アリバイを見つけちゃうと、その人犯人じゃなくなっちゃうからね!」
A子 「アリバイって、そんなに重要?」
B男 「重要! 事件を左右するくらいに!」
A子 「じゃあアリバイがなくて、動機と証拠がそろえばいいの?」
B男 「そうなれば、即逮捕だな」
A子 「既に犯人が捕まった後だとしても?」
B男 「犯人が捕まった後ならもう誰も捕まえなくていいだろう!?」
A子 「けど怪しい!」
B男 「怪しくても、犯人もう捕まってるから!」
A子 「なんとしても逮捕したい!」
B男 「無実の人は逮捕出来ないの!」
A子 「見てるだけで精神的苦痛を被る!」
B男 「それは民事の方でやってくれ! 刑事事件は犯人だっていう確たる証拠がないとダメなの!」
A子 「じゃあ私が探偵やって、完璧な証拠とアリバイを見つけてあげよう!」
B男 「戻ったね!? さっき聞いたよそのセリフ!?」
A子 「私が探偵やるから、ダメダメな刑事さんやって」
B男 「探偵ものの刑事さんって、なんでかダメな人ばっかなんだよな」
A子 「そこまで酷くないよ。無実の人を犯人扱いして、真犯人をみすみす見逃して、捜査状況を部外者にペラペラしゃべっちゃうくらいで」
B男 「最悪だね! 仕事出来ないにもほどがあるよね!?」
A子 「そんな、首の皮一枚で繋がっている刑事さんやって」
B男 「なんとも将来が不安になる刑事だな!」
A子 「『辛うじて刑事!』」
B男 「誰が辛うじて刑事か!?」
A子 「あだ名、あだ名! 刑事さんにはニックネームがつきものでしょ?」
B男 「だとしても、もうちょっとまともなあだ名がいいかな!?」
A子 「『首の皮刑事!』」
B男 「意味がほぼ一緒だね!? 普通に刑事さんって言ってくれ!」
A子 「う~わっ、さん付け強要された」
B男 「なんで嫌そうなんだよ!? 目上の人間は敬えよ!」
A子 「了解しました、目の上のたんこぶ刑事!」
B男 「本当の意味での目の上じゃないから! で、それ邪魔とか目障りって意味だからね!」
A子 「刑事さん、事件ですか?」
B男 「あぁ。しかし犯人が特定出来ないんだ」
A子 「ラテ欄の二番目、誰になってます?」
B男 「二時間ドラマじゃないから! メインキャストの次に名前来てる人が犯人とかじゃないから!」
A子 「帰納的推理!」
B男 「現場とか証言から推理しろよ!」
A子 「まぁ、状況を見てすぐピンときましたけどね」
B男 「本当か!?」
A子 「犯人は、この中にいるといいなぁ!」
B男 「ピンと来てねぇ!? ものすごいボヤッとしてる!」
A子 「ちゃんと容疑者の話を聞いたの?」
B男 「聞いたよ。全員、完璧なアリバイがあるんだ」
A子 「じゃあ、事故ってことで」
B男 「諦めんなよ! 事件だから! 犯人、この中にいるから!」
A子 「え、誰が犯人!?」
B男 「それを解くのがお前の役目だろう!?」
A子 「じゃあ、犯人はこの人です!」
B男 「本当だろうな? 間違ってましたじゃ済まないんだぞ?」
A子 「大丈夫! ラテ欄の二番目に名前書いてあったから」
B男 「だからその帰納的推理いらないから! もういいよ」




