はらたったった
A子 「ねぇねぇ。ここ最近で『こんな世界滅んでしまえばいい!』っていうほど腹が立ったことってある?」
B男 「ないね!? ここ最近に限定しなくても、生まれてこの方そこまで腹が立ったことはないかな!?」
A子 「じゃあ、ここ最近で『こんな世界滅んでしまえばいい!』っていうほど嬉しかったことは?」
B男 「なんで嬉しいのに『こんな世界滅んでしまえばいい!』になるんだよ!?」
A子 「だってあなた、魔王でしょ?」
B男 「違うよ!? いつから勘違いしてた!?」
A子 「だって、体操服に『魔王』って書いてあったよ?」
B男 「書いてねぇわ! 仮に書いてあったら、それ恥ずかしい感じの中二病だから!」
A子 「じゃあなんで、世界を滅ぼそうと?」
B男 「してません! 世界が平和だといいなぁって、常日頃思ってます!」
A子 「なんか、イラッてしたこととかはない?」
B男 「そんなのはしょっちゅうだな」
A子 「器の小さい男だな、はげろ!」
B男 「おぉ、イラッてしたな、たった今!」
A子 「おっかえり~」
B男 「違うよ!? 『たっだいま~』じゃなくて、『たった今』! 今しがた!」
A子 「今しがた、なに?」
B男 「イラッてしたの!」
A子 「なんで!?」
B男 「記憶力ないの!?」
A子 「えっ、ないの!?」
B男 「いや、俺がじゃなくてお前がな!」
A子 「私が?」
B男 「記憶力ないのかって!」
A子 「あるよ、2つ」
B男 「すでに数え方がおかしいけどな!」
A子 「なんで私の記憶力がないと?」
B男 「今さっきのことを覚えてなかったからだよ!」
A子 「今さっき?」
B男 「イラッとしたの、俺が!」
A子 「なんで?」
B男 「あぁっ、イライラする!」
A子 「器の小さい男だな、はげろ!」
B男 「それだー! それでイラッとしたの、俺は!」
A子 「それでそんな無残な頭皮に……」
B男 「誰の頭皮が無残か!? まだふっさふっさだよ!」
A子 「イライラすると髪に悪いらしいよ」
B男 「ストレスとか、ダイレクトに来るらしいな。円形脱毛症とか」
A子 「つむじを中心に、半径1メートル」
B男 「全身じゃん!? 無駄毛もほとんどなくなってんじゃん!」
A子 「さらに進行すると、半径6メートル」
B男 「周りの人にまで被害が及んでるね!?」
A子 「妖怪はげうつし」
B男 「うつるか! で、誰が妖怪だ!」
A子 「そうならないためにも、あんまりイライラしないようにしなきゃね」
B男 「そう思うなら、あんまりイライラさせないでくれ!」
A子 「私が何かした?」
B男 「ホントに記憶力あんの!?」
A子 「うん。4つ」
B男 「増えたね!? なに、俺としゃべってる間にどっかで手に入れてきたの!?」
A子 「記憶力を手に入れる? ……ちょっと、言ってる意味が……」
B男 「こっちこそがだよ!」
A子 「なんだか、話せば話すほどイライラするみたいだから、私は黙ってひたすら変な動きをしてるね」
B男 「やめてくれる!? そんなもんを間近で見せられるストレスはたまったもんじゃないから!」
A子 「ストレスがたまらないならいいことじゃない」
B男 「違う! ストレスがたまるからたまらないの!」
A子 「あぁ、日本語覚えたてだから……」
B男 「違う! 生まれてこの方ずっと日本語! それ以外話せない!」
A子 「もしかして、かなりイライラしてる?」
B男 「あぁ、してるね!」
A子 「だから、世界を滅ぼそうと思ったわけだね」
B男 「だから世界を滅ぼそうとは思ってねぇってのに! もういいよ」




