はっぴゃくまん
A子 「ねぇねぇ。八百屋・万屋の神っていうじゃない?」
B男 「限定されちゃったね!? それじゃあ神様二人だ!」
A子 「神様を数える単位は1柱2柱!」
B男 「いいよそんな細かいとこ!」
A子 「商売繁盛の神様じゃないの?」
B男 「八百万の神だよ! 沢山の神様ってこと」
A子 「そんなに沢山いるの?」
B男 「万物に宿ると言われてるからな」
A子 「高野豆腐とか鰹節だね」
B男 「乾物だな、それ!? 乾き物だ!」
A子 「乾物の神様?」
B男 「いい出汁が出そうだ!」
A子 「罰が当たるぞ!?」
B男 「お前がな! 万物だよ! この世にあるものすべて!」
A子 「この世にある物すべてに神様が宿ってるの!?」
B男 「そう言われてるな」
A子 「アイスの当たり棒にも!?」
B男 「当たり棒の神様はどうかな!?」
A子 「缶のコーンスープを飲んだ時に、絶対取れない底に残っちゃったトウモロコシにも!?」
B男 「それに宿った神様はやりきれない思いでいっぱいだろうな!?」
A子 「こちら側のどこからでも切れますって書いてあるくせにどこからも切れないタレの小袋にも!?」
B男 「なんでそんな微妙なもんばっかチョイスするんだよ!?」
A子 「万物に神様は宿るんでしょ?」
B男 「そんなつい最近出来たようなもんには宿ってないよ!」
A子 「じゃあどれくらい古ければいい?」
B男 「九十九神っていって、百年経つと魂が宿るって言われてるんだ」
A子 「近所のお婆ちゃん、まだ98歳だから魂宿ってないんだね」
B男 「人間は生まれた時から魂宿ってるよ!? でなきゃ、俺もお前も魂宿ってないことになるからね!?」
A子 「私は102歳ですけど?」
B男 「凄い若いな、見た目が!?」
A子 「どう見ても生後2カ月にしか見えない」
B男 「それはそれで大問題だろう!?」
A子 「いまだに首が座らない」
B男 「百年生きてるのにか!?」
A子 「きっと、首が座らない神様が宿っちゃってるんだろうね」
B男 「いない、そんな神様!」
A子 「神様の存在を否定するのか!?」
B男 「そんなもんにいちいち神様が宿るわけないだろう!?」
A子 「宿ってます! 日本中の首の座ってない人には男女問わず、赤ちゃんから老人までみんなに宿ってます!」
B男 「首が座ってないのは赤ちゃんだけだよ!」
A子 「お前は人類をなんだと思ってるんだ!?」
B男 「お前こそがなんだと思ってんだ!?」
A子 「千葉県には首の座ってない神様をお祭りしている神社が多数存在し」
B男 「勝手なこと言うと千葉県の人に怒られるぞ!」
A子 「毎年夏になると首が座ってない神様を称える祭りが盛大に執り行われるのよ!」
B男 「どんな祭りだ!?」
A子 「ぷらんぷらん祭りよ!」
B男 「ぷらんぷらんさせてんじゃねぇよ、首を!」
A子 「そのお祭りには、みんな座っている首を一回座る前の状態に戻して参加するの」
B男 「出来るか、そんなこと!」
A子 「信仰心が足りないからそうなるのよ!」
B男 「絶対関係ない!」
A子 「みたいな神様までいるってこと?」
B男 「だからいないっつってんだろ!?」
A子 「八百万だよ? 全部だよ?」
B男 「全部ではねぇよ! 物凄く沢山だ!」
A子 「七十二と書いて『やおよろず』だよ?」
B男 「少ねぇわ! 八百万だよ、『やおよろず』は!」
A子 「そんなに!?」
B男 「日本には凄い数の神様がいるんだよ。だから日ごろからいい行いを心掛けないとな」
A子 「神罰が下って首が座らなくなるかもしれないもんね」
B男 「だからその神様はいないから! もういいよ」




