右と左
A子 「ねぇねぇ。子供のころ、右と左ってどうやって覚えた?」
B男 「普通だな。お箸持つ方が右で、お茶碗が左」
A子 「あなた、お箸左じゃない!」
B男 「確かに俺は左で箸持つけども! 子供にはそうやって教えるだろう!?」
A子 「お茶碗が左って、ラーメンの時はどうするわけ?」
B男 「だったらドンブリは左でいいだろう!?」
A子 「ラーメンを持ち上げて食べる子供がいるか!」
B男 「添えるだろう、左手! 添える感じでいいんだよ!」
A子 「『熱っ!』……火傷した方が左手」
B男 「そんな覚え方嫌だな!?」
A子 「私、お箸を使う文化圏の人じゃないから、それは難しいな」
B男 「じゃあなんだ、ナイフとフォークの文化圏だとでもいうのか!?」
A子 「基本手づかみ」
B男 「ワイルドだな、お前の生まれ育った環境!?」
A子 「だからお箸が苦手でねぇ」
B男 「まぁ、慣れてないと難しいよな」
A子 「生きたウナギくらいしか掴めない」
B男 「お前凄いな!? あれを箸でいけるのか!?」
A子 「それくらいは余裕」
B男 「日本でもトップクラスの箸名人だぞ、それ!?」
A子 「4匹同時に!」
B男 「凄まじい器用さだな!?」
A子 「つまり、うなぎを4匹捕まえられる方が右?」
B男 「まぁ、そういうことだな」
A子 「7匹捕まえられる方が左」
B男 「左はもっと器用なんだね!?」
A子 「12匹捕まえられるのが右足」
B男 「進化し過ぎだろう、お前の体!?」
A子 「それに引き換え、何も掴めないのが左足!」
B男 「なんか罵倒する感じになってるけど、それが普通だからね! 左足は悪くないからね!」
A子 「でもとっさの時は分かりにくいよね」
B男 「背後からボールが飛んできて、『左によけろ!』とか言われた時とかな」
A子 「『えっと、何も掴めないのが左足だから……』」
B男 「なんで左足基準で考えてんだよ!?」
A子 「『よし、こっちだ!』って考えてる間に、右足がボールを『パシーッ!』」
B男 「流石に器用だな、右足!?」
A子 「ガッチリキャッチ!」
B男 「ガッチリキャッチは無理だろう、右足で!?」
A子 「お前は海外の人か!?」
B男 「日本人がみんな出来るみたいな言い方やめてくれる!? 出来ないから、普通の人は!」
A子 「お箸以外で何かないかな、右と左の覚え方?」
B男 「どうかなぁ。やっぱり手を使って覚えさせるのが一番なんじゃないか? 鉛筆が右、とか」
A子 「お茶碗が左」
B男 「なんで鉛筆の時までお茶碗持ってるんだよ!?」
A子 「育ちざかり!」
B男 「でも、置いてこい!」
A子 「でもさ、左利きの子もいるんだよね」
B男 「そういう子はお箸が左って覚えればいいだろ。俺はそうして覚えたし」
A子 「お茶碗も左?」
B男 「食べにくいだろ、ご飯!? そして右手が暇過ぎる!?」
A子 「もっとこう、分かりやすいのがいいな」
B男 「例えばどんなんだよ?」
A子 「暗黒龍が宿っているのが右腕」
B男 「中二病か!? 邪気眼真っ只中か!?」
A子 「普通に見えるのが右目。見えてはいけない闇の住人が見えるのが左目」
B男 「だから中二病! 現世に帰ってこい!」
A子 「東京タワーが見えるのが右手!」
B男 「観光バスか!? 行きと帰りで向き変わるわ!」
A子 「やっぱりお箸が一番なのかな?」
B男 「身近で分かりやすいからな。お箸で覚えるのが一番いいだろう」
A子 「生きたウナギを捕まえられるのが右手」
B男 「だからそれ無理だから! もういいよ」




