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笑いは世界を救う  作者: たくえりすきぃむ


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雑談の極意

A子 「ねぇねぇ。五月病の原因に『コミュニケーションの取り方が分からない』っていうのがあるんだって」

B男 「あぁ。うまく会話が出来なくて気分が滅入っちゃってるんだな」

A子 「そういう時は拳で語り合えばいいのにね」

B男 「ダメだね!? 会社とか学校でそれやっちゃうと、二度とそこには行けなくなっちゃうよね!?」

A子 「これで五月病とはオサラバ」

B男 「同時にいろんなものとオサラバしちゃうけどね!」

A子 「なんか、会話が怖くなくなる極意とかないかな?」

B男 「気楽に受け答え出来れば、それが一番いいんだけどな」

A子 「『は? 社長だからって、なに威張ってんスか?』」

B男 「気楽過ぎるな!」

A子 「『社長がそんなに偉いんスか?』」

B男 「偉いよ! メッチャ偉いからね!」

A子 「でもこれで、五月病とはオサラバ」

B男 「だから、会社も一緒にオサラバしちゃダメなの! もっと普通に会話してみろって!」

A子 「ダメなんだよ。最近の若者はコミュニケーションが苦手だから」

B男 「SNSとかに慣れちゃって、直接顔を合わせて話をするのが苦手って人はいるらしいな」

A子 「エンカウントしたら即攻撃って癖がついちゃってて」

B男 「モンスターでもハントし過ぎたのかな!?」

A子 「『社長が現れた。どうする?』」

B男 「なんかコマンド出てきたよ!?」

A子 「『攻撃』!」

B男 「コマンドがおかしいな!? そこは『挨拶』だよ!」

A子 「『新入社員は挨拶をした。社長に50のダメージ』」

B男 「なんでダメージ受けてるの、社長!?」

A子 「『ウチの息子よりもしっかりした挨拶が出来てる……』」

B男 「お前んとこの教育方針が間違ってたんだよ、じゃあ!」

A子 「『何回教えても「ちっす」としか言わない……』」

B男 「相当だね!? 息子さん、かなり重症だよね!?」

A子 「『えぇい! ちゃんとした挨拶の出来る若者などクビだ!』」

B男 「おかしいだろ!? 八つ当たりも甚だしいわ!」

A子 「こうして若者は会話に恐怖心を抱いていくようになるのよ」

B男 「そんな極端な環境、そうそうないからな!」

A子 「そもそも、どんな話をすればいいの? 例えば、それほど仲良くないけど会社でよく顔を合わせる人とか」

B男 「世間話でいいだろう?」

A子 「『眉毛と眉毛の間について語り合いましょう』」

B男 「それ『眉間』話だね!? そんな会話見たことない!」

A子 「世間話って言っても、趣味とか好きな物が違うと噛み合わないじゃない? そうしたら気まずいじゃない? 会社、辞めるじゃない?」

B男 「辞めるなよ、そんなことで!」

A子 「気まずい空気が嫌いなの!」

B男 「話すことが見つからないなら、何か質問でもすればいいんだよ」

A子 「『息子が「ちっす」としか言わないんだけど、どうしたらいいかな?』」

B男 「社長! お前は専門家にでも相談しに行ってこい!」

A子 「初対面でいきなり人生相談するの?」

B男 「違ぇよ! 『休みの日に何してるんですか?』とか、そういう当たり障りのないことを聞くの!」

A子 「『休日は、とある国に雇われて日本の国家機密を探っています』」

B男 「それポロッと言っちゃまずいだろ!?」

A子 「『あなたは少し知り過ぎた……』」

B男 「勝手にお前が話し始めたんだろうが!」

A子 「あなたが休日の過ごし方とか聞くから」

B男 「そこはうまいこと誤魔化せよ、そういう人なら!」

A子 「嘘が吐けない正直者なの!」

B男 「だったら悪事に手を染めるな!」

A子 「『他にどんな悪事に手を染めたんですか?』」

B男 「聞くな聞くな! 怖いから! もっと普通の話をしよう!」

A子 「普通って言うと、逆に難しいよね」

B男 「そういう時は、何も考えずに出たとこ勝負で行くと意外とうまくいったりするもんだぞ」

A子 「分かった。じゃあ拳で語り合おう!」

B男 「だから、それしたらいろんなところとオサラバしちゃうから! もういいよ」


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