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笑いは世界を救う  作者: たくえりすきぃむ


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まんあし

A子 「ねぇねぇ。マンガのアシスタントになりたいから、漫画家になって」

B男 「自分の夢より高いハードルを要求すんなよ!」

A子 「しょうがない。私がマンガ家さんやるから、あなたは指名手配中のアシスタントやって」

B男 「指名手配中の人雇っちゃダメじゃん!?」

A子 「じゃあ、服役中のアシスタントでもいいよ」

B男 「なんで何かしら罪を犯した人しか雇わないんだよ!? 何もしてないアシスタントやるわ!」

A子 「何もしないアシスタントなんか必要ない!」

B男 「仕事はするよ!?」

A子 「へっへっへっ、今日の仕事は楽勝だったな」

B男 「また悪事に足突っ込んでるよ!? その言い方は確実に空き巣かなんかだよね!?」

A子 「じゃあ、普通の、平々凡々な、なんの面白みもないアシスタントやって」

B男 「酷い言われようだな!? 普通が一番だろうが!」

A子 「東大を首席で卒業して、名立たる大企業の内定を蹴って、親のくれた定期預金を食い潰しながら頑張るアシスタント」

B男 「アシスタントの何がそいつをそこまで駆り立てたんだ!?」

A子 「マンガは、勉強では学べないことを教えてくれた」

B男 「まぁ、人生を変えるような衝撃を受ける人はいるみたいだけどな」

A子 「壁にぶつかると、綺麗に人型にくり抜かれるところなんかが、特に」

B男 「いつの時代のマンガだ、それ!? 最近見ないけどね、そういう演出!」

A子 「通学路を咥えながら『転校生転校生~』って走ってると、曲がり角で遅刻した食パンとぶつかるの」

B男 「なんか物凄いごちゃまぜになってるけど!?」

A子 「で、教室で『あ、あなたはさっきの食パン!?』って」

B男 「なんで教室に食パン入ってきてんだよ!? どんな状況だ!?」

A子 「じゃあ、そのシーンの背景を描いてもらおうかな」

B男 「背景って、物凄く難しいんじゃないのか?」

A子 「そんなことないよ。東京都の絵画コンクールで金賞とれるくらいの腕前があれば余裕余裕」

B男 「その腕前がないんだよ!」

A子 「じゃあ板前でもいいけど?」

B男 「東京都の絵画コンクールで金賞とれる板前ってなんだ!?」

A子 「板前の修業をしながら、寝る間も惜しんで絵画の勉強をしている苦労人だよ」

B男 「そんな人にマンガのアシスタントまでさせんなよ!」

A子 「将来の夢がマンガ家なの!」

B男 「じゃあなんで板前の修業してんだ!?」

A子 「趣味?」

B男 「他の板前さんに失礼だから今すぐ辞めろ!」

A子 「いわしを4枚におろせるのに?」

B男 「1枚多いわ! どこを余分におろしちゃったんだよ!?」

A子 「じゃあ、このシーンの背景、3枚におろしといて」

B男 「意味が分かんない!? 何を要求されているのか、皆目見当がつかないよ!?」

A子 「もう、何なら出来るの?」

B男 「ベタ塗りくらいがせいぜいだよ!」

A子 「無茶振り?」

B男 「マンガ描いてる最中に無茶振りされても迷惑なだけだろう!? ベタを塗るの!」

A子 「『ぶひぃ』」

B男 「それ豚! ベタ! 髪の毛とかを黒く塗り潰すの!」

A子 「じゃあ、2ページから8ページまで、全部真っ黒に塗り潰しといて」

B男 「読者ビックリしちゃうわ!」

A子 「その前に編集がビックリだけどね!」

B男 「そう思うなら余計なことすんな!」

A子 「背景もベタも出来ないとは……」

B男 「ベタはまともな依頼を受けてないせいだけどな!」

A子 「仕方ない。じゃあ、この先の展開考えて」

B男 「それはマンガ家の仕事だよ!」

A子 「分かった! 私がアシスタントのお手本を見せてあげるから、マンガ家さんになって」

B男 「だからハードル高いってのに! もういいよ」


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