パンダが欲しい
A子 「ねぇねぇ。パンダが欲しい」
B男 「ムリだ」
A子 「また、何の努力もしないで!」
B男 「日本が欲しがってもなかなか手に入らない動物なんだよ!」
A子 「高いの?」
B男 「数が少なくて貴重なの」
A子 「増やせば?」
B男 「そう簡単にいくならとっくにやってるだろうよ!」
A子 「ポケットの中に入れて叩いてみれば?」
B男 「ビスケットか!? ポケットを叩くとパンダが増える、か!?」
A子 「なんとか1匹でも欲しいんだけど」
B男 「パンダなんかもらって何するんだよ?」
A子 「黒い部分を白く塗る!」
B男 「じゃあ最初っから白熊を飼え!」
A子 「違うの! お客さんが『あ、白熊だ』って思ってると突然笹を食べ始めるの! お客さんビックリ!」
B男 「しょうもないドッキリ仕掛けんな!」
A子 「パンダって、なんであんなに可愛いんだろうねぇ」
B男 「模様じゃないかな」
A子 「じゃあなんで牛はそんなに可愛くないんだろう……?」
B男 「失礼な! 可愛いだろうよ、牛も! 牛協会に怒られるぞ」
A子 「でもパンダほどの人気はないじゃない」
B男 「まぁ、模様がまだらだしな。パンダは絶対狙って黒くしてるもん。目と耳と手足って、可愛くなる気満々だもんな」
A子 「なんて腹黒い! おなかは白いくせに!」
B男 「自然界にあんなカラーリングの生き物が誕生したのが不思議でならないよ」
A子 「もしパンダがゼブラ模様だったらどうなってたかな?」
B男 「縞々?」
A子 「うん。縞クマ」
B男 「なんか紛らわしい名前だな!」
A子 「縦縞にしたら阪神パンダ」
B男 「大阪で大人気だな」
A子 「逆に他の動物がパンダ模様だったらかわいいかな?」
B男 「どうだろう? 犬猫なら可愛いかも知れないけど」
A子 「人は?」
B男 「心配で仕方ないだろう!? 目の周りクマで、耳とか手足真っ黒になってたら即病院連れてくよ!」
A子 「蛇」
B男 「分かりにくい! 耳も手足も無いし!」
A子 「クマ」
B男 「それパンダ!」
A子 「そういえば、『熊』を使ったことわざはあるけど、『パンダ』を使ったことわざってないよね」
B男 「ちょっと待って。熊を使ったことわざってなに? 思いつかないんだけど?」
A子 「ヒョウタンから熊」
B男 「怖ぇよ! 食われるじゃん!」
A子 「二階から熊」
B男 「だから怖ぇって! で、それ二階から目薬だから、熊とは似ても似つかないよね!?」
A子 「犬も歩けば熊」
B男 「どんな進化だ!? チワワを散歩に連れて行って、帰ってきたら熊になってるのか!?」
A子 「隣の客は熊」
B男 「席に案内してんじゃねぇよ、店員! で、それもはやことわざですらないからね!」
A子 「このように、熊を使ったことわざが沢山ある中、パンダを使ったことわざが一個もないの」
B男 「熊を使ったことわざも一個も出てきてないけどな」
A子 「熊の子見ていたかくれんぼ!」
B男 「お尻を出した子一等賞か!?」
A子 「引っ張りクマ」
B男 「それタコ! 引っ張りクマって、ちょっと可愛らしいキャラクターみたいだから!」
A子 「引っ張りパンダ」
B男 「完全にキャラクターになったな。Tシャツにでもなりそうだよ」
A子 「やっぱりパンダ」
B男 「やっぱりってなんだ!? 何回鏡見ても『やっぱり俺パンダなんだ……』みたいな感じか!?」
A子 「がっかりパンダ」
B男 「テンション下がっちゃってんじゃん! いいじゃんパンダで!」
A子 「ドッキリパンダ」
B男 「ドッキリしてるパンダか?」
A子 「ううん。白熊だと思って見てたら急に笹を食べ始めて『パンダなんだ!?』って、お客さんをドッキリさせるパンダ」
B男 「だから白く塗んなって! もういいよ」




