素朴な疑問
A子 「ねぇねぇ。あなた何者?」
B男 「なんだよ今更!?」
A子 「いや、よくよく考えたらあなたのこと何も知らないなって」
B男 「そうか?」
A子 「話したこともないし」
B男 「じゃあ今のこれは何だ!?」
A子 「独り言」
B男 「噛み合い過ぎだろ!」
A子 「顔も見たことないし」
B男 「見てるだろ、今!」
A子 「実はずっと微妙に視線外し続けてたから」
B男 「じゃあ直視しろ! 思う存分網膜に焼きつけやがれ!」
A子 「いや、まだ安全が確認出来てないから」
B男 「俺は新種のウィルスか!?」
A子 「ウィルスを侮辱するな!」
B男 「俺はどこまで下に見られてんだ!?」
A子 「謎に満ちた生命体ね……」
B男 「極普通の一般人だ!」
A子 「足が6本……」
B男 「俺は昆虫か! 足は2本!」
A子 「2本とも右足」
B男 「バランス悪いだろう!?」
A子 「羽と尻尾はなし」
B男 「あるか!」
A子 「新種」
B男 「みんなねぇだろうが、羽と尻尾!」
A子 「雑種」
B男 「誰が雑種だ!」
A子 「あれ、もしかして哺乳類?」
B男 「100%まじりっけなしの哺乳類だよ!」
A子 「未知の生命体か……」
B男 「いやだから、メッチャ普通だから!」
A子 「色々質問していい?」
B男 「おう、何でも答えてやるよ」
A子 「今後、年金システムは大丈夫なの?」
B男 「政治家に聞いてくれ!」
A子 「なるほど、どうやら政治家ではないらしい」
B男 「そんなとっからのスタート!? 明らかに違うよね!?」
A子 「好きな食べ物は?」
B男 「カレーかな」
A子 「キレンジャーの可能性大」
B男 「カレー好きが皆キレンジャーだったらインド人みんなキレンジャーじゃねぇかよ!」
A子 「カレー=キレンジャーって……発想が安直、っと」
B男 「お前だ!」
A子 「休みの日って何してる?」
B男 「家にいることが多いかな?」
A子 「主に水回りに?」
B男 「俺は湿気を好む生き物か!?」
A子 「外には出ないの? 許可がいるの? あと何年したらシャバに出られるの?」
B男 「捕まってないからね! いつでも好きな時に出られるから!」
A子 「それなのに頑なに外に出ない。さては、日光を浴びると消えてなくなるな!」
B男 「吸血鬼か! そこらへん散歩したりするよ!」
A子 「海辺を歩いたり?」
B男 「いいねぇ。潮風が気持ちいいんだ」
A子 「そしたら偶然、漁師さんが港で魚介類を焼いていてご馳走になったり」
B男 「旅番組か!?」
A子 「『いつも見てますよぉ~』とか言われて」
B男 「どうやってだよ!? 俺テレビにも出てない一般人だぞ!?」
A子 「『あなたのことならなぁ~んでも知ってますよぉ……』」
B男 「怖い怖い!」
A子 「『あなた、実は、足が6本……』」
B男 「だから昆虫じゃねぇってのに! もういいよ」