挨拶は大切
A子 「ねぇねぇ。挨拶って大切だよね」
B男 「そうだな。するとしないとでは、相手に与える印象ががらりと変わるな」
A子 「『彼は素敵な歌舞伎役者ね』『いいや、彼はクールなハードロッカーだよ』」
B男 「えらいイメージ違うけど!? 何があったの、その人!?」
A子 「挨拶するかしないかの差」
B男 「そこまで変わることはないと思うけど!?」
A子 「ちゃんと挨拶してる?」
B男 「心がけてはいるけどな」
A子 「小学生に挨拶すると捕まる危険があるから、気を付けなね」
B男 「最近って、そういう風潮だよね!?」
A子 「怪しい四足歩行の男が挨拶してくる事例が発生しました」
B男 「四足歩行はおかしいよね!?」
A子 「『こら、子供たち! ちゃんと挨拶しなさい!』」
B男 「お前はちゃんと二足で歩け!」
A子 「『何足で歩こうが、個人の自由でしょうが!』」
B男 「迷惑なんだ! 子供たちも怯えてるし!」
A子 「でも、時速80キロ出せるよ?」
B男 「余計怖い!」
A子 「挨拶をしない子は、この四足歩行にずっと追いかけられる」
B男 「怖い怖い! どこの都市伝説だよ!?」
A子 「そういう怖い目に遭わないように、ちゃんと挨拶する練習しといた方がいいよ」
B男 「いや、俺はちゃんと出来るし」
A子 「耳から春雨ぶら下げて何言ってんだか」
B男 「ぶら下げてないよ!? よく見て!」
A子 「あ、渦巻き管が出てるだけか」
B男 「それ一大事! 何も出てないから!」
A子 「じゃあ挨拶出来るか、ちょっと試させてもらおうか」
B男 「おぉいいぞ! お前そこにいろな、俺が挨拶してやるから」
A子 「あ、その前にアポイント取ってね」
B男 「なんで!?」
A子 「私、偉いさんだから」
B男 「自分で言うな! 偉いさんでも、挨拶くらいアポ無しでしていいだろうが!」
A子 「返事は、『気安く話しかけるなー!』でいい?」
B男 「いいわけないよね!?」
A子 「グーが出ます」
B男 「グーは出すな!」
A子 「じゃあ、私が会社の社長で、本社前の自動販売機の下に落ちてる一円玉を死に物狂いで取ってるから、挨拶してきて」
B男 「挨拶しにくい! 見なかったことにしたい!」
A子 「『あの一円があったらジュース買えるのに!』」
B男 「買えないよ!?」
A子 「129円持ってるの!」
B男 「それでも買えないんだ、自動販売機だから!」
A子 「『あ、一円かと思ったら一万円札だった』」
B男 「視力大丈夫!? 全然違うよ!?」
A子 「『ところで君は、挨拶も出来んのか?』」
B男 「するタイミングがなかったんだよ!」
A子 「『早く挨拶しなさい。三日前から楽しみに待ってるんだから』」
B男 「待ち過ぎだ! 毎日するから。じゃあ、おはようございます」
A子 「シュン……『残像だ』」
B男 「余計なことしないで! ずっとそこにいて!」
A子 「今の挨拶じゃ、合格点はあげられないなぁ」
B男 「どこが悪かった?」
A子 「ドイツ語で言ってほしかったなぁ」
B男 「日本語でいいだろうが! っていうか、ドイツ語で挨拶ってなんていうんだ?」
A子 「さぁ?」
B男 「知らねぇのかよ!?」
A子 「あと、私の方を向いてなかった」
B男 「それはお前が『残像』とか行って背後に回ったからだろうが!」
A子 「それから、コレが致命的だったなぁ」
B男 「なんだよ?」
A子 「四足歩行」
B男 「だからしてねぇっつの! もういいよ」




