幸せの条件
A子 「ねぇねぇ。あなたにとっての幸せの条件ってなに?」
B男 「えっとね……。好きな人がいて、好きなことして、好きな場所にいられることかな」
A子 「つまり、金?」
B男 「言ってねぇだろ、んなこと!?」
A子 「金を払って好きな場所占領して、金の力で好きなこと独占して、好きな人すらも金で買う気か!? 最悪だな!」
B男 「お前の解釈がおかしいからだろうが!」
A子 「幸せはお金じゃないよ」
B男 「分かっとるわい!」
A子 「いいや、その顔は分かってないね! だって福沢諭吉にそっくりだもん!」
B男 「初めて言われたわ! 全く似てないだろう!?」
A子 「そっくりよ。国籍が」
B男 「一緒! 国籍は一緒! 日本人!」
A子 「見栄を張るな!」
B男 「日本人だよ! 香川と京都の相の子じゃい!」
A子 「あぁ、雑種か」
B男 「誰が雑種だ、誰が!?」
A子 「ハーフ?」
B男 「日本人!」
A子 「『もしくは……』?」
B男 「日本人だよ! なんだ『もしくは』って!?」
A子 「ロシアの首都」
B男 「それ『モスクワ』ね!」
A子 「アメリカンジョーク」
B男 「一切関係ない!」
A子 「ねぇ金の亡者」
B男 「誰が金の亡者か!?」
A子 「私が本当の幸せを教えてあげるよ」
B男 「ほぅ。じゃあ教えてもらおうか!?」
A子 「じゃ、とりあえず十万振り込んでくれる?」
B男 「金の亡者はお前だ!」
A子 「今、凄くほしい炊飯器があるのよ」
B男 「自分で買え、炊飯器くらい!」
A子 「いい? 幸せっていうのは、着るものがいっぱいあって、食べ物がいっぱいあって、住むとこがいっぱいあること」
B男 「住むとこいっぱいはいらねぇだろう!?」
A子 「衣食住は生活の基本でしょ!?」
B男 「だからって何個も何個も家いらねぇだろう!?」
A子 「別荘よ別荘! 東京、神奈川、埼玉、千葉、栃木!」
B男 「近ぇよ! 一個一個が物凄い近い!」
A子 「じゃあ、群馬!」
B男 「関東から出ろ!」
A子 「茨城!」
B男 「関東だよ、茨城も!」
A子 「じゃあ思い切って北海道に8つ!」
B男 「近ぁい! まとめ買い禁止!」
A子 「なぜ!? 向こう三軒みんなウチ!」
B男 「それもう、別荘じゃなくて「離れ」っていうんじゃね!?」
A子 「みんなワンルーム」
B男 「だったらまとめて大きな家の方が幸せだろう!?」
A子 「淋しいじゃない。広い家に私と炊飯器しかいないのよ!?」
B男 「なんで炊飯器を数に入れた!?」
A子 「え、炊飯器は家族の一員でしょ?」
B男 「違ぇよ!」
A子 「メガネは顔の一部なのに!?」
B男 「炊飯器は家電だ!」
A子 「眉毛はメガネの一部なのに!?」
B男 「違うだろう!?」
A子 「炊飯器が家族じゃないなら、私は独りぼっちになるじゃない!?」
B男 「どんだけ淋しい人生送ってるんだ、お前は!?」
A子 「だからこそ幸せが欲しいんじゃないの!?」
B男 「だったらまず、大切な人を探そうか!」
A子 「あ、ちょうど今月、高性能の炊飯器が発売されたのよ!」
B男 「炊飯器は人じゃない!」
A子 「香川と京都のハーフ」
B男 「それ俺!」
A子 「え!? 炊飯器!?」
B男 「違ぁーう! ご飯は炊けません!」
A子 「玄米は?」
B男 「炊けるか!」
A子 「雑穀米は?」
B男 「何米も炊けんわ!」
A子 「全く……、炊飯器の代わりにもなりゃしない」
B男 「だったらその高性能炊飯器でも買ってこいよ! それで幸せになれるならな!」
A子 「なんだ、やっぱり幸せってお金で買えるのか」
B男 「もういいよ!」




