探偵になりたい
A子 「ねぇねぇ。探偵になって人の粗を探り当てたい」
B男 「ヤな動機だな!? 真実を暴くとかにはなんないのか!?」
A子 「真実よりも、笑いをとります!」
B男 「そしたら捏造だね!? 真実を追求して!」
A子 「じゃあ早速、今から隠された真実を暴きに行こう!」
B男 「何か仕事でも来てるのか?」
A子 「迷子の子猫探しが」
B男 「真実関係ねぇ!?」
A子 「あと、子猫の浮気調査が」
B男 「子猫が浮気なんかするか!」
A子 「ウチじゃないところでエサをもらっているらしい」
B男 「それ浮気になるの!?」
A子 「自分以外の人にゴロゴロ言わないでほしいという強い要望が」
B男 「嫉妬深い飼い主さんだな!?」
A子 「浮気の証拠が掴め次第、完全犯罪に手を染める所存」
B男 「ダメじゃん!? 染めないで! なんとか話し合いでケリをつけよう!」
A子 「浮気とかされたことある?」
B男 「いや、無いなぁ」
A子 「彼女いない歴が地球の年齢と同じだもんね」
B男 「長いこといないな、俺の彼女!? 六千億年!?」
A子 「幼稚園で隣の席だったゾウリムシさんとはお友達止まりだよね?」
B男 「俺はゾウリムシの隣に座ったことがない!」
A子 「アレが一番惜しいところまで行ったよね」
B男 「だとしたら、俺は物凄く寂しい人生を送ってきてるんだね!?」
A子 「その鬱憤を晴らすように、他人の浮気を暴きまくりたいんでしょ?」
B男 「俺、最低じゃん!?」
A子 「まぁ、確かに最底辺だけども」
B男 「底辺とは言ってない! 普通の生活水準をキープしてますから!」
A子 「どうしても離婚して慰謝料欲しい人は、ハニートラップを仕掛けるらしいよ」
B男 「それは酷いな」
A子 「全身ハチミツまみれになるもんね」
B男 「俺の知ってるハニートラップとは、どうやら違うみたいなんだけど!?」
A子 「エレベーターに乗ったら、天井から『ザバー』でしょ?」
B男 「違うね! 相手の男に、仕込みの女の人を宛がって浮気させるんだよ」
A子 「それに引っかかると、天井からはちみつが『ザバー』?」
B男 「はちみつ『ザバー』しない! ハニートラップにハニーは出てきません!」
A子 「詐欺か!?」
B男 「そういう名前なだけ!」
A子 「それで慰謝料を取るなんて酷いよね」
B男 「まぁ、ひっかかっちゃった方にも落ち度はあるけどな」
A子 「じゃあ同情出来ないね。やーいやーい」
B男 「でもひっかける方が色々と酷いなって気はするけどね!」
A子 「でさ、その仕込みの女の人が、偶然昔の知り合いだったりして」
B男 「それはなんか運命的なものを感じるな」
A子 「『え、もしかして……ゾウリムシさん?』」
B男 「俺の知り合いじゃん!? あ、いや、俺の知り合いではなかった!」
A子 「『何してんのこんなとこで?』『光合成』」
B男 「ホント、何してんの!? そんなミドリムシみたいなこと」
A子 「まぁ、それで再会して、意気投合して、一緒に光合成しちゃって」
B男 「俺は一緒に光合成出来る自信がねぇなぁ!」
A子 「そしたら、見ず知らずの女の人に『浮気したでしょ!?』って」
B男 「なんで見ず知らずの女の人に言われんだよ!? おかしいだろ!?」
A子 「あぁ、そうか。見ず知らずのオッサンに『浮気したでしょ!?』って」
B男 「もっとおかしくなった! 何もかもがおかしい!」
A子 「あ、よく知ってるオッサンに……」
B男 「オッサンに浮気したとかどうとか言われる筋合いない!」
A子 「しかし、あなたが浮気したという証拠は、このテープレコーダーにしっかりと録音されているのよ!」
B男 「マジでか!? 一切身に覚えがないのに!」
A子 「でも、その直後に凄く面白い一発ギャグを思いついたから重ね録りしちゃったけども」
B男 「だから、真実よりも笑いを優先させんなってのに! もういいよ」




