理解されない趣味
A子 「ねぇねぇ。人に理解されない趣味とか持ってる?」
B男 「アニメとか好きだけど、人によっては理解出来ないかもしれないな」。
A子 「アニメっていうのは、アニメーションの略で……」
B男 「アニメが理解出来ないんじゃなくて! いい大人がアニメにはまってるって状況に理解を示さない人がいるってことだよ」
A子 「面白いのに、アニメ」
B男 「興味ない人には理解し難いんだろうよ。フィギュアとか集め始めると尚更な」
A子 「フィギュアとか持ってるの?」
B男 「結構持ってるよ」
A子 「うわぁ~……」
B男 「そういう反応されるんだよな」
A子 「一緒だ~……」
B男 「お前も持ってんのかよ!? じゃあなんだ、さっきの拒絶反応は!?」
A子 「マネされた~」
B男 「マネじゃねぇよ! 今は結構みんな持ってたりするよ!」
A子 「メッチャ可愛いのがあるんだよね」
B男 「ディフォルメされたやつとかな」
A子 「同じキャラでも表情とか服装が違うと欲しくなっちゃって」
B男 「そうそう。置き場所に困るくらい買っちゃったりな」
A子 「それはちょっと理解出来ないな」
B男 「なんでだ!? 今の今まで話合ってたろうが!」
A子 「置き場所なくなるほどはないなぁ」
B男 「家が狭いんだよ」
A子 「だったら引っ越せ! フィギュアのために5LDKのマンション買え!」
B男 「お前の方が重症じゃねぇか! なんだ、フィギュアのために5LDKって!?」
A子 「盛大に飾って、好きなキャラに囲まれて生活したいじゃない」
B男 「そこまで好きになれるのは、もはや才能だよな」
A子 「一歩足を踏み入れると壁一面にフィギュア」
B男 「ずらっと並んでるんだな」
A子 「床一面にチャーシュー!」
B男 「なんで!?」
A子 「美味しいじゃない」
B男 「知らんし、床に敷き詰めるな!」
A子 「これだから、アニメに理解のない大人は……」
B男 「フィギュアの方じゃなくて、チャーシューの話をしてるんだよ!」
A子 「私の好きなアニメのヒロインがチャーシュー大好きなの!」
B男 「変わった設定のアニメだな!?」
A子 「チャーシューの、主に脂身の部分が!」
B男 「割とぽっちゃりしてるのかな、そのヒロイン!?」
A子 「ラードが主食!」
B男 「大丈夫か、ヒロインがその設定で!?」
A子 「大人気の魔法少女ものだよ」
B男 「魔法少女がチャーシューを貪り食うな!」
A子 「魔法少女・上田ハルヒコ!」
B男 「普通の名前だな!? で、確実に男じゃねぇか!」
A子 「上田ハルヒコ、46歳。営業部の係長」
B男 「オッサンじゃねぇか!?」
A子 「最近、お腹周りが気になる脂ギッシュな小学5年生!」
B男 「そんな小学生がいるか! まず46歳!」
A子 「家庭の事情!」
B男 「それで済まされる範囲をとうに超えとるわ!」
A子 「趣味は、チャーシューを床に敷き詰めること!」
B男 「そいつの影響か!? 今すぐやめさせろ!」
A子 「いつの時代も、趣味っていうのは理解されないものだよね」
B男 「いくら個人の勝手でも、食い物を粗末にするのは許せないな!」
A子 「でも、後でスタッフが美味しくいただくんだよ?」
B男 「テレビのテロップか!?」
A子 「そういうフィギュアを集めてるわけね?」
B男 「そういうフィギュアじゃないかな、俺の場合!」
A子 「どんな作品が好きなの?」
B男 「もっと普通の、ラブコメとか日常系とか。出てくるキャラのフィギュアをフルコンプしたりしてるぞ」
A子 「うわ~……」
B男 「全部揃ってるのが好きなんだよ!」
A子 「一緒だ~……」
B男 「だから一緒なのかよ!? もういいよ」




