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笑いは世界を救う  作者: たくえりすきぃむ


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ヤブヘビ

A子 「ねぇねぇ。この前さ、公園の木を片っ端から蹴って回ったんだけど」

B男 「なにしてんだよ!?」

A子 「いや、カブトムシでもいないかなって」

B男 「いないよ! 時期を考えろ!」

A子 「で、木を蹴ったら、枝に積もってた雪がドサーって!」

B男 「そうらそうなるわ」

A子 「枝に戻すの大変だった~」

B男 「戻したの!?」

A子 「だって、私の責任だし」

B男 「いや、責任も何も、放っておけばよかったのに。っていうか、普通は戻せないし」

A子 「がんばりました!」

B男 「余計なことしなきゃそんな目に遭わなかったのにな。そういうのなんて言うか知ってる?」

A子 「木を蹴ったらカブトムシじゃなくて雪がドサー事件」

B男 「まんまだな! で、事件でもないし! そうじゃなくて、そういうときに使うことわざがあるだろ?」

A子 「寝耳に水?」

B男 「おしくもねぇ!」

A子 「あ、覆水盆に返らずだ! ほら、一度枝から落ちてしまった雪はもう枝の上に戻りはしないという意味で」

B男 「戻したんだよね!?」

A子 「えぇ、戻しましたが?」

B男 「戻ってんじゃん! そうじゃなくて、『ヤブ』が付くことわざだよ」

A子 「破れかぶれ!」

B男 「その回答こそが破れかぶれだ!」

A子 「ヤブから棒!」

B男 「あ、おしい! そんな感じで!」

A子 「タナからボタモチ!」

B男 「遠ざかった! 『ヤブ』!」

A子 「タナからボタモチ、とヤブ!」

B男 「取って付けるな!」

A子 「ヤブからボタモチ!」

B男 「出てこねぇよ! それ誰かが落としたやつだろう! じゃなくって、ヤブヘビ!」

A子 「あぁ、破れかけの蛇柄の財布」

B男 「買い換えろ!」

A子 「違うの?」

B男 「ヤブを突いて蛇を出す!」

A子 「何のために?」

B男 「そういうことわざなの! 余計なことをして遭わなくてもいい災難に遭遇しちゃうことをそう言うの!」

A子 「ちなみに、破れかけの蛇柄の財布は、凄い高級なものを持ってリッチぶってても、敗れかけてまで使い続けてると逆に貧乏臭いことから、変に背伸びをすると逆にカッコ悪いという意味」

B男 「もっともらしい意味だけど、そんなことわざないからね!」

A子 「似たような意味のことわざが、ビトンの財布で牛丼」

B男 「いいじゃねぇかよ!」

A子 「有名ブランドの財布から出てくる小銭。なんか悲しい」

B男 「好きなんだよ、ビトンも牛丼も!」

A子 「そして仕舞われる領収書」

B男 「牛丼屋で領収書っすか!?」

A子 「350円。財布の100分の1未満」

B男 「まぁ、確かに何でもかんでも高級ならいいってもんじゃないけどね。その場所やその人に合った物が一番だよね」

A子 「なので、牛丼屋には牛丼屋に合ったブランドを!」

B男 「牛丼屋に合うブランドってなに?」

A子 「一時期、牛肉が規制された時期に豚丼って発売されたでしょ?」

B男 「今もあるよね」

A子 「ブトン」

B男 「ブトン! 豚丼!?」

A子 「ロゴマークは『LB』」

B男 「『B』は豚だとして、『L』は?」

A子 「ラージ」

B男 「大盛り!」

A子 「しかも、TD!」

B男 「ツユダクね!」

A子 「あぁ、なんか牛丼が食べたくなってきた」

B男 「これもヤブヘビのひとつかもね」

A子 「ヤブ医者とヘビー級ボクサー?」

B男 「お前今までの話聞いてなかったろう!?」

A子 「まさに寝耳に水!」

B男 「こっちのセリフだ! もういいよ」


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