おむすびころりん
A子 「ねぇねぇ。『おむすびクリリン』って知ってる?」
B男 「『おむすびころりん』な!」
A子 「『おむすびクリリン』は?」
B男 「知らねぇよ!」
A子 「ふ、コレだから昭和生まれは」
B男 「お前ぇも昭和生まれじゃねぇか!」
A子 「で、おむすびクリリンってなに?」
B男 「だからおむすびころりん! お爺さんがおむすびを穴に落としちゃうお話だよ」
A子 「食べ物を粗末にするな!」
B男 「わざとじゃねぇよ! 落としちゃったの!」
A子 「お爺さんがおむすびを穴に落としましたとさ、めでたしめでたし」
B男 「終わるな! なんもめでたいことないわ!」
A子 「何が面白いの、この話?」
B男 「続きがあるんだよ!」
A子 「どんな?」
B男 「その後ネズミが出てきてな」
A子 「退治して」
B男 「退治すんな!」
A子 「ネズミが出りゃ退治するでしょうよ!? 米食われるし」
B男 「お爺さんはネズミにおむすびをあげるの!」
A子 「どんだけおむすび食わないんだ、お爺さん!? おむすび大嫌いか!?」
B男 「違うよ! 親切なの!」
A子 「家に帰ったらお腹をすかせた子供達が……。でもネズミにおむすびをあげるのが優先で……!」
B男 「どんな変わり者だ!? そこまでネズミ好きでもないだろう!?」
A子 「じゃあなに!? 鳩にエサあげる感覚?」
B男 「違う違う! あのな、お爺さんがおむすびを食べようとした時に、あやまっておむすびを落としちゃったんだよ」
A子 「『ごめんなさい! コロン!』 それは捨てたって言わない?」
B男 「あやまっての意味が違う! 落としちゃったの! そしたら、ころころ坂道を転がり落ちていって」
A子 「お爺さん?」
B男 「おむすび! で、穴の中へ落ちたの」
A子 「ナイスショット!」
B男 「ゴルフじゃねぇよ!」
A子 「おむすび穴入れ競争?」
B男 「ねぇだろ、そんな競技!? おむすびが穴に落ちて『もったいないなぁ』って思ってたら、穴の中から歌が聞こえてくるんだよ」
A子 「サクラ~ふぶ~きの~♪」
B男 「なんで24時間テレビだ!? 誰も走っちゃいねぇよ!」
A子 「すいませ~ん! メロンソーダ2つ!」
B男 「カラオケボックスか!?」
A子 「いや、歌が聞こえるって言うから」
B男 「『おむすびころりんすっとんとん』って聞こえてくるんだよ!」
A子 「聞いたことないな。オリコン初登場何位?」
B男 「ないの、オリコン! ネズミの歌だから!」
A子 「ネズミが歌を歌うか!」
B男 「昔話だからいいの!」
A子 「で、その歌聞きたさに家中のお米をネズミに費やしたのか!?」
B男 「だから言い方がよくない! 歌を聴いて楽しくなったお爺さんは、持っていたおむすびをみんな穴に落として、で、自分も穴に落ちちゃって」
A子 「穴デカっ!? もしくはジジィちっちゃっ!?」
B男 「魔法みいたなモンじゃねぇの!? 不思議な力でネズミの国に行っちゃうの!」
A子 「じゃあパスポート見せて。観光?」
B男 「税関ないから! そしたら、ネズミの長老が出てきて、おむすびをくれたお礼にって、ご馳走を出してくれて、帰りに財宝が入った葛篭をくれるんだよ」
A子 「で、帰りに税関で引っかかって?」
B男 「税関ないっつってんだろ! で、お婆さんと末永く幸せに暮らしたんだよ」
A子 「財宝があるなら米くらい買えばいいのに」
B男 「お爺さんの親切が嬉しかったの!」
A子 「で、クリリンはどこに出てくるの?」
B男 「出てこねぇよ! もういいよ」