生命保険に入った
A子 「ねぇねぇ。生命保険に入ったの」
B男 「いつ何が起こるか分からないからね」
A子 「だから一機増えたの」
B男 「一機増えた!?」
A子 「ワンアップキノコで」
B男 「お前はマリオか!? なんだよ一機増えたって!?」
A子 「もし事故とか災害にやられても、もう一回最初から出来るの」
B男 「随分お手軽な人生だな!」
A子 「ここら辺に亀でもいれば、無限ワンアップが出来るのに……」
B男 「だからマリオかって!?」
A子 「ある意味不老不死……気持ち悪いわ!」
B男 「保険だから……生命保険ってのは、自分にもしものことがあったときにお金がもらえるんだよ!」
A子 「コイン100枚集めるともう一機増える」
B男 「マリオじゃねぇ!」
A子 「でも自分にもしものことがあった後にお金もらっても使えないじゃん」
B男 「保険は、残された家族の為にかけとくもんなの」
A子 「自分で使えないのってなんか損した気分じゃない?」
B男 「いいんだよ、そういうもんなんだから」
A子 「じゃあ、もし私に何かあったら、残った一機は家族の人に……」
B男 「だから自分の命を一機二機と数えるな!」
A子 「いざとなったらコンティニュー」
B男 「ないから! 人生はやり直しきかないの!」
A子 「そんな一度きりの人生。安心のためにも生命保険に入らない?」
B男 「なに急に勧誘してんだよ!?」
A子 「バイトバイト。深く考えないでココにハンコ捺してくれればいいから」
B男 「簡単に捺せるか!」
A子 「ハンコがメッチャ重いとか?」
B男 「違うわ!」
A子 「捺し方が分かんないなら、ハンコ捺し専門学校紹介するけど?」
B男 「ないだろ、そんな専門学校! そうじゃなくて、保険に勧誘するなら、ちゃんと説明しろよ!」
A子 「コレが契約書。紙で出来てるの。そして、この丸いところにハンコを捺すの。ちなみにハンコっていうのは自分の苗字が書いてある……」
B男 「違ぁう! 保険の内容を説明しろっての!」
A子 「なんとなくいい感じの保険だよ」
B男 「ザックリし過ぎだろ! どういう保険なんだよ!?」
A子 「なんかほんわかする保険」
B男 「全然イメージわかんわ!」
A子 「今契約すると、オシャレなモモヒキがもらえるよ」
B男 「いらん! モモヒキな時点でオシャレじゃないから!」
A子 「じゃあ、オシャレじゃないモモヒキを……」
B男 「いらぁん! いいからどういうシステムなのか説明しろ!」
A子 「例えば、もしあなたが交通事故にあったとするでしょ」
B男 「不慮の事故な」
A子 「そしたら、すぐに私のところへ情報が入るの」
B男 「おぉ、で?」
A子 「『物騒だなぁ。私は気を付けよう』って思うの」
B男 「俺は!?」
A子 「お気の毒様」
B男 「なんの保障もないじゃん!」
A子 「うん。でもそれってそんなに大事なことかな?」
B男 「そのための保険だ!」
A子 「じゃあ逆に何して欲しいのよ!?」
B男 「だから、万が一の時は一千万とか二千万とか!」
A子 「コイン?」
B男 「どんだけワンアップさせる気だ!?」
A子 「あ、キノコ!?」
B男 「そんなに大量のキノコどう処理しろっていうんだよ!? どんな山奥でも一千万もキノコ生えてないだろう!」
A子 「もしかしてお金?」
B男 「もしかしなくてもお金だよ!」
A子 「お金の事しか考えられない汚れた人間にはなりたくない!」
B男 「事故して大量のキノコを送りつけられるくらいなら汚れきった人間になる事を選ぶわい!」
A子 「分かったわよ。もしもの時はお金を払うわよ! コレで安心?」
B男 「まぁね!」
A子 「じゃあ、頑張ってピーチ姫を助けてきてね!」
B男 「だからマリオかって!? もういいよ」