婦人警官
A子 「ねぇねぇ。婦人警官になりたい」
B男 「婦人警官って、何するんだろ?」
A子 「駐車違反の車取り締まったりするんだよ」
B男 「じゃあ俺駐車違反するから……」
A子 「わかった、通報しとく!」
B男 「お前が取り締まりにくるんだよ!」
A子 「おぉ、そうか。じゃあそんな感じで。こら! こんなところに車停めちゃダメでしょう!」
B男 「いいじゃねぇかよ、少しくらい!」
A子 「後ろの席の子が黒板見えないでしょ!」
B男 「どこ停めてんだよ!? 教室!?」
A子 「黒板のまん前」
B男 「そこ入る前に止めろよ! そんな無茶な駐車はしねぇよ! 道端に停めてるの!」
A子 「こら! ここは駐車禁止ですよ!」
B男 「ちょっと停めてただけだろう!?」
A子 「ウソばっかり! 私、3日間この場所で見張り続けてたんだからね!」
B男 「ヒマだな、お前も! そんな長い事停めてりゃレッカー移動だ! 2時間くらい停めてたことにしよう!」
A子 「2時間前から停まってたわよ!」
B男 「うっせぇなぁ。他にも停めてるヤツいるだろうが!」
A子 「この国には私とあなた以外人間はいない!」
B男 「どこだここは!? どこの無人島だ!?」
A子 「罰金はココナッツの実で支払ってね」
B男 「南国だね、ってバカ! 日本の普通の道に停めてるの!」
A子 「こら! ここはココナッツ禁止よ!」
B男 「南国を持ってくるな! 日本だから! で、ココナッツ禁止区域なんか見たことねぇよ!」
A子 「駐車禁止だから、車停めちゃダメ!」
B男 「ちょっとだけじゃん。大目に見てよ」
A子 「い~よ~!」
B男 「よくねぇんだ! 言い逃れするドライバー多いから、そこは毅然とした態度で切符を切らなきゃいけないの!」
A子 「乗車券を拝見します!」
B男 「なんにも乗ってねぇよ!」
A子 「あ、特急券も一緒に」
B男 「いつ新幹線に乗った!?」
A子 「新幹線の中は駐車禁止ですよ!」
B男 「当たり前だ! そもそも車では乗り込めんわ!」
A子 「もしどうしても駐車したいなら、グリーン車へ行きなさい!」
B男 「ダメだから! グリーン車でも駐車出来ないの!」
A子 「じゃあ、のぞみに乗ってください」
B男 「のぞみもこだまもやまびこもダメ! っていうか、電車の切符じゃないから!」
A子 「映画?」
B男 「駐車違反の切符!」
A子 「ぴあに電話したのになかなか繋がらなくて……取れなかった」
B男 「ぴあに売ってないから、駐車違反の切符!」
A子 「じゃあ、どこで手に入るの!? 抽選!?」
B男 「警察が持ってるの!」
A子 「今すぐ警察の人呼んでくる!」
B男 「婦警さん!」
A子 「はい! 私婦警さんでした!」
B男 「早く切れよ、切符!」
A子 「はいはい、今切りますよ。はい、切手」
B男 「切符! ここでは切手使わないだろう!?」
A子 「駐車違反記念切手」
B男 「いらんわそんな記念!」
A子 「免許証見せて」
B男 「はいよ」
A子 「ぷぷ。変な顔」
B男 「免許証の写真は大体そんなもんだよ!」
A子 「えっと、本名がアントニー・ローレンスで間違いないですね」
B男 「大間違いだよ! どっからどう見ても日本人だろ!」
A子 「ごめんなさい。私漢字弱くて」
B男 「どう間違えたらアントニーになるんだよ!?」
A子 「じゃあ、点数引いといたんで、教習所で研修受けてくださいね」
B男 「え~、メンドクセェ~。婦警さん、何とか多めに見てくださいよ~!」
A子 「い~よ~!」
B男 「だからよくねぇっつってんだろ! もういいよ」




