中二病でもでも
A子 「ねぇねぇ。中二病~?」
B男 「誰が中二病か!?」
A子 「患ったことない?」
B男 「中学生のころは、多かれ少なからみんな患ってるんじゃないか?」
A子 「クラスのみんなが患う中、私だけは患わなかったけどね!」
B男 「多分それ患ってるよ!」
A子 「どの辺が?」
B男 「中二病って、『自分だけは他人と違うんだ』っていう屈折したアイデンティティの表れみたいなもんだろう?」
A子 「まぁ、一般人ならその程度の認識が限界かもしれないよね」
B男 「それそれ! その『自分だけは真実を知っているけどね』的な発想が中二病なんだよ!」
A子 「中二病って、体の中に暗黒龍とかが住みつく病気じゃないの?」
B男 「住みつく病気ではないな! 実際は住みつかないし!」
A子 「クッキーとか持って、『今度体内に住みつくことになりました、暗黒龍です』って挨拶に来たよ」
B男 「礼儀正しいな、暗黒龍!?」
A子 「『至らない点は多々あるかと思いますが、色々ご教示ください』」
B男 「最近の人はそこまでしないのに!? 暗黒龍、奥ゆかしいな!?」
A子 「『親切にしてくれないと、闇の炎で骨まで焼きつくしてくれるぞ!』」
B男 「なんか最後でメッチャ怖い!」
A子 「まぁ、暗黒龍だからね」
B男 「そんなんに住みつかれたら気が休まらないだろうな!」
A子 「でも、中学生はみんなかかる病気だから」
B男 「違うよ!? 実際に住みつかないよ!? 住みついてるって妄想するの!」
A子 「それって、あなたが毎日やってることじゃない」
B男 「してないよ、そんな妄想!」
A子 「『月の光を浴びると、我は無敵じゃ!』とか言ってたし」
B男 「いつ言った、そんなこと!?」
A子 「駅前のデパートでランチを食べながら」
B男 「月の光浴びながら言えよ、せめて! 昼で、しかも室内じゃん!?」
A子 「難儀な病にかかってるんだね」
B男 「かかってないよ!? もう卒業したし、中二病!」
A子 「中学校はまだ卒業出来てないのに?」
B男 「したよ! とうの昔に!」
A子 「そういう妄想をする、中二病」
B男 「妄想じゃない! あと、中二病の解釈が多分おかしい!
A子 「どういうのが中二病なの?」
B男 「カッコつけてコーヒー飲みはじめたり、洋楽聞き始めたり、人気のあるヤツをとりあえず否定して、『俺は他のヤツとは違うから』みたいな空気を醸し出そうとするんだよ」
A子 「肌を緑に塗ってみたり?」
B男 「違い過ぎるな、他のヤツと!?」
A子 「ペンキだから、全然落ちない」
B男 「残念な子過ぎるな、そいつは!?」
A子 「ペンキを落としたら、肌は紫」
B男 「塗るまでもなく他人と違うじゃん!?」
A子 「でも紫芋とかぶってる」
B男 「気にすんな、そんなもんは!」
A子 「『我が体内には、暗黒の紫芋が宿っている』」
B男 「黒いのか紫なのかわかんねぇよ!」
A子 「『くっ、右腕に封印したメークインが暴れ始めたっ!』」
B男 「お前の体内、イモだらけか!?」
A子 「『全ての炭水化物を解き放つ!』」
B男 「カッコ悪い! なんか必殺技でも使いそうな雰囲気だけど、物凄くカッコ悪いからね!」
A子 「中二病って、こんな感じじゃないの?」
B男 「俺の知ってるのはそんな感じじゃないかな!?」
A子 「でたよ、『俺の言うことこそが正しい』的発想」
B男 「そういうんじゃねぇよ! ごく一般的に見た感想だよ!」
A子 「でたよ、『俺の意見は多くの人に共感されている』的発想」
B男 「確かに『みんなそう思ってるよ』とか、勝手に代弁しちゃうヤツいたよね!」
A子 「やっぱりまだ患ってるんじゃないの、中二病?」
B男 「そんなことねぇよ」
A子 「暗黒龍とか紫芋とか暴れ出さない?」
B男 「それはない! 紫芋は特に!」
A子 「中学校を卒業したとか妄想してない?」
B男 「だから妄想じゃなくて卒業したってのに! もういいよ」